第8話 無
~無~
わたしは、あっと思った。
薔薇…
私が?
無…について書いてあった。
そこに書いてあったのは
109きみがすべて
私の薔薇よ、君がいなければ、この広い宇宙も無に等しい。この世では君が私のすべてだから…
あ……
太陽の日差しが眩しい。
思わず私は目を細めた。
睫毛のあいだからプリズムになった光が七色に輝いて見える。
私は顔を上げて空をあおいだ。
晩夏の日差しの中、目をつぶって、大きく深呼吸した…。
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