天獄団地8

木戸さんと連絡が取れなくなった。

寺に行ってから2週間ほどたった頃、

プロジェクトの進捗を聞きたく連絡をとったが繋がらない。

心配になった私は木戸さんの会社の事務所へ赴いていた。


「木戸君ねぇ先週から僕も連絡取れなくて…」

木戸さんの上司も連絡が取れず困っているようだ。

木戸さんのPCから私が書いた「幽霊団地の怪談」

の資料ファイルを確認した。


書き換えられてる?なんで??


私の文はまるまる書き換えられており、ガジリ様を崇めるような文に変わっていた。

嫌な予感がする。



ふと寺でのことを思い出した。

ガジリ様の話が本当なら木戸さんは今早瀬さんと同じ道を辿ってるかもしれない。


こんな話を信じる人はいない

わたしが探さなければ…


シホさんなら何か知ってるかもしれない。

私は再度あの寺へ足を運んだ。


着いた頃には日はすっかり落ちていました。


あれ?


そこにあったはずの寺はすっかり荒れ果て

人の痕跡すら見つかりません。


私たちは何をみて、誰と話したのだろう…

それでもここに手がかりがあるはずと、

私は中に入っていきました。

暗い室内をスマホのライトで照らしながらゆっくりと進み、木戸さんが即身仏を見たと言う部屋にたどり着きました。


部屋は飾り付けられ中央の台には赤黒い木箱が鎮座していました。


木箱の割れた部分にライトを当て私は中を覗き込みました。


!????


中にいた何かと目が合った。

いや正確には目はなかったのですが

それからはなぜかいくつもの視線を感じるような気がしました。


気持ちが悪い…

急な吐き気とめまいに襲われて私はその場に倒れこんだ。


意識が遠くなっていく中、私が最後に見た光景は

迫り来る3つの口でした。


















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