天獄団地6
寺に向かう車内で私は早瀬さんが残した
手記を読んでいた。
「僕も寺まで辿り着いたんですけど
早瀬さんが今の僕と同じこの段階でもう戻れないって手記に書いてるってことは、
もしかして僕って今けっこうヤバい状況なん
ですかね?」
「まだ引き返せるかもしれませんよ?
寺にはまだ行ってないですし…
やめるなら今しかないと思います。」
「ここまで調べたのにプロジェクト放棄したくないですよ…」
「木戸さんならそう言うと思いましたよ
でも早瀬さんと違う点が木戸さん1つありますよ」
「なんです?」
「早瀬さんと違って私たちは2人で団地について調べてます」
「それ被害が2倍になるだけじゃないといいですけどね…」
「……たしかに」
沖和の工業団地を抜け▓▓▓寺に向かう道中、
車内はラジオから懐かしい曲が流れていた。
木戸さんは鼻歌を歌いながら運転を続け、
高速道路を2時間弱、私たちは隣県にある
▓▓▓寺にたどり着いた。
「お電話させて頂いた、木戸と申します」
「こんな所まではるばるすいませんね」
寺では住職の娘の寺本 シホさんが案内してくれるらしい。
客間に通され件の話について私たちは話を始めた。
「その…寺本住職は今ご不在なんですか?」
「父は数年前に亡くなりました」
「え?」
「あの団地にあった鎮石を戻しに行く道中亡くなりました。」
「そんな…」
「先日来ていた早瀬さん?でしたっけ?
彼はどうでうですか?」
「早瀬さんは行方不明になりました
今捜索中です…」
「やっぱりね?私見えるんですよ悪いものが
早瀬さんはダメでしたけど
木戸さんはまだ戻れると思いますよ?
それでもまだ知りたいですか?」
「知るためにここまで来ました、だからお願いします」
「そうですか…
父は生前あの団地周辺のことを気にかけていました。
あの場所になにがあったのかを私が知ったのは父が亡くなった後でした。
父の部屋へ行ってきます。 少しお待ちください」
私と木戸さんの2人だけになり部屋が静まり返る
「猿鬼さんは気づきました?」
木戸さんが突然話し出した
「シホさんの目ですか?あれって義眼?ですよね」
「あれも団地に関係してるんですかね?」
奥の部屋から足音が近ずいてくる
シホさんが戻ってきたようだ。
「お待たせしました。
どうぞ これが父の残した手記と、
あの場所に関するスクラップブックです」
私たちはシホさんから渡されたものを受けとった
背表紙には【天獄について】 と書かれている。
天獄とは? ガジリ様とは?
私たちはついにその正体を知ることとなる。
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