第21話
「ご紹介します。ベガさんとアルタイルさんです」
ひとけのない倉庫裏に移動した私と昴琉はあんぐりと口を開けた。
目の前に立っているのは、二十代くらいのすらっと大人びた女性と同じく青年で筋肉が鍛えられていそうな男性。ただし、半透明だ。
この姿は二人とも、化身らしい。
どうやら、ポラリーが叫んだことによって、人間としての姿になってしまったようだ。
「実は僕のこの姿も、仮の姿なんですよ。いやあー、まさか僕にこんな力があったなんて。僕って最強だなあ」
ポラリーは有頂天だ。
まったく。まだ何も解決してないのに、のんきなんだから。
それにしても、二人が着る服はとてもきれいだ。
ベガさんは桃色、アルタイルさんは藍色の着物を着ている。
形がよく似ていてお揃いみたいだ。
そういえば、七夕の中でベガさんは織姫として布を織る仕事をしているよね。
もしかしたら、ベガさんがアルタイルさんにプレゼントしてあげたのかもしれない。
そんな二人はさっきから無言を貫いている。
そしてご丁寧にお互いそっぽを向いている。
やっぱりケンカ中らしい。
「あんたたちよ、さっさと仲直りしたらどうなんだよ。俺たち、友達に乗りうつられて大変なことになってるんだよ」
昴琉が言うと、アルタイルさんが困ったように口をゆがませた。
「それは申し訳ない。だが、ベガが話を聞いてくれなくてね」
「話さないのはそっちでしょう⁉ いつだってちゃんと目を見て話してくれない!」
ベガさんが素早く反論する。
その様子を見て私はあっと声を出す。
もしや、影の状態だった時に一列になって、飛んでいたように見えたのって……怒ってるベガさんを、アルタイルさんが必死に追いかけようとしてたの?
そんなのに付き合わされてた私たちって……。
なんだかどっと疲れがきて、はあっと息をついた。
「まあまあまあ。いい機会ですからこの場で話し合ってみては? きっと仲直りできますよ」
ポラリーは二人の仲を取り持つように間に割って入る。
アルタイルさんはしぶしぶ、といった様子で口を開いた。
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