2謎の星型生物、登場!

第3話

 赤く染まった空が私たちを包み込んでいる。

 周りには私たち二人だけ。

「そ、空がきれいだねっ」

 思い切って声を出したらうわずっちゃった。

 ちょっと前を行く昴琉は「ん」とだけ返事する。

 そのまま流れる無言の時間。

 き、気まずい。気まずいよぉ!

 私、尾月梨杏、絶好の機会なのに大ピンチでございます……!

 学校からの帰り道。校門に出たタイミングがぴったり昴琉と一緒だったの。

 でもそれだけじゃない。普段は昴琉の近くには友達がいるのに、今日は予定があるとかで途中で違う方向に行っちゃって。

 あろうことか、いつの間にか周りに私と昴琉以外誰もいなくなってて。

 そういえばそうだった。私たちの家は学区の中でもちょっと遠いとこにあるから、途中でみんないなくなっちゃうんだ。

 昴琉に話しかけるチャンスなのに、いざとなれば言葉が出てこない。

 私はううっとうなって天を見上げた。

 神様っ、仏様っ。どうか私に昴琉と仲直りする勇気をくださいー!

 胸の前でぎゅっと手を組む。

 ……って、答えてくれるわけないか。

 何やってるんだろ、私。

 はあとため息をついてとぼとぼと歩き出した、その時。

 視界の端に動くものを見つけて、はたと止まった。

 目に入ったのは、空にキランと光る、一つの点。

 この時間、星がくっきりと見えるには早いはずだ。

 あれ、飛行機かな?

 なんて思っていたら、それはちょっとずつ大きくなっていって……。

「なんだ? あれ」

 気づいた昴琉も、目を細めて空を見上げる。

 見る間に大きく……じゃない!

「落っこちてきてるんだ!」

「うわあ⁉」

 隣で昴琉もあわてた声を上げる。

 その物体は私たちのほうへと真っ逆さまに落ちてくる。

 でも、私たちにはどうもできなくて。

 ——ぼすっ

 そのままソレは昴琉の顔に張りついた。

「すっ、昴琉⁉ 大丈夫?」

「俺は大丈夫だ。……なんだよ、これ」

 昴琉はソレをべりっと顔からはがす。

 ソレは星の形をしていて、ちっちゃい手足みたいなものがついている。表には真ん丸の目と赤い口。

 星型の人形、とか?

 なんだかテーマパークのキャラクターみたいな、可愛らしい顔だ。

 昴琉と二人してのぞきこむ。

 そしたら、その口がぱかって開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る