鳩だって散歩したい(超ショートショート)

なるみやくみ

第1話

それはある日の散歩中の出来事だった。

私が歩いていると、目の前を鳩が横切った。

小気味良いテンポでなんだか楽しげだ。

一瞬そう思ったが、しばらくして疑問が湧いてきた。

「飛んだほうが早いだろうに、横着か?アホなんか」

つい、口から言葉が出てしまっていた。

すると、鳩がこちらを振り返って睨むように私のほうに目を向けた。

なんだ?まさか私の言葉が理解できたのか。いや、まさかな。

そう思った次の瞬間だった。

鳩が私のほうに向かって、足早に向かってきた。

思わずあとずさりしたが、鳩の勢いは止まりそうにない。

こちらをじっと見ながら向かってくる。

私は怖くなり、走って逃げた。

しばらくして振り返ると、鳩が立ち止まって、こちらを見ていた。


鳩だって散歩したい時があるのだろう。

私の言葉は余計なお世話だった。

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鳩だって散歩したい(超ショートショート) なるみやくみ @kuminarumiya

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