どうせ結ばれない恋だったんだ

KIA

再会

俺の名前は森川涼、27歳、なんとなく大学に進学し、なんとなく良い会社へ就職し、運よく彼女も大学時代にできた、そんな人生を送ってきた。

俺の人生の中で一つ心残りがある。

初恋のことだ。付き合っている人がいるにも関わらず、あの子のことが忘れられない。最低なのだが、あの声や容姿を思い出すと、たまらなく後悔の念が出てくるのだ。

もしあそこで、、と思ってしまったら止まらない。


そんな俺の元に一通のメールが来た。

『今度の日曜日、高校の時の有志で同窓会するんだけど、お前来る?』

下手すれば10年くらいメールし合ってなかった高校時代の友達からメッセージがきた。

今度の日曜日か、、空いているな。まあ久々にあってみるのもいいか。てかなんで今まで同窓会をしてこなかったのだろう。

『いいね、行くわ』

もしかすると、"あいつ"も来るかもな、、、


[日曜日]ある居酒屋にて

「おお!森川じゃん、長い間会ってなくてもわかるもんだな」

「どうも、、」

こいつは佐藤で、同じ陸上部だった。他にも陸上部のメンバーが揃っていた。

懐かしいなこのメンツ。やっぱり久々にあっても盛り上がるもんだな。

「え!?お前も彼女できてんのかよお、これで陸上部で彼女いないの相上と俺だけだよ、、」

「お前大学で何してたんだよww」

「いやあ忙しかったんだって、、」

「がははw」


そんなこんなでみんな酒が回ってきて、テンションがおかしくなってきた。

俺はそんなに酒が好きって訳じゃないのでとりあえずお茶を飲んでいる。

そう、今俺は飲み会どころでは無いのだ。

(”あいつ”がいる!)

俺の視線の先には一人の女子がいる。1時間前ほどに来た、名倉綾だ。

彼女は高校時代、美術部に入っていた。

そして、俺も美術部を兼部していた、、、、

そんなことを考えていたら、彼女と視線が合ってしまった。

(しまった!)

そこで、彼女は立ち上がり、飲んでいた友達に、「ちょっと酔っちゃったから風に当たってくるね」と言って出口へ歩く。

歩いてる時、また目があう。

今まで溜めていた思いが蘇ってくる。それこそ一生の心残りが心の中で暴れ出す。

ここしかないと覚悟した。

「ちょっと外で電話してくる」

「おーう、森川お前もちょっとは飲めよお」

酔った変な返事を聞き流し、俺は出口へ向かう。


出口から出たところでやはり彼女は待っていた。

「やっぱりくると思った」

「、、、、」

言葉が出なかった。

「ちょっと一緒に歩こうよ」

「、、、うん」


「私、彼氏できたんだよね」

「俺も彼女いるよ」

「そうなんだ、、、、良かった」

「なんでだよ」

確かに俺も彼女に心に決めた人がいて安心はした。

それと同時に昔溜めていた後悔も同時に溢れ出してきた。

「、、、昔、初めて喋った時、覚えてる?」

「そりゃもう覚えてるわ、鮮明にな」

「ちょっと昔の話、しよっか」







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