お金は大事
結局、リリエラが気を使ってくれて、それ以上は話さなくてもいいと言ってくれた。
どうやら一般常識を何も知らない俺に、色々と教えると言ってくれてるし。
いやぁ、リリエラが良い人で本当に良かった。
不親切なステータスとは全然違うな、おまけに可愛いし。
「ケントくん。このまま街道を行けば、日が暮れる前に着きますよ」
「お、そうか。いや良かったー、野宿とかした事無いからなぁ」
「ふふ、でも統合ギルドで活動するなら、ある程度慣れないとですね」
「だよなぁ」
「あ、街に入る時に銀貨一枚払わないといけないので、建て替えておきますね」
「何から何まですまないな」
統合ギルドっていうのは、まあ異世界定番のアレだアレ、冒険者とかの組織だ。
商人のは何て呼ばれてるんだ?ああ、普通に商業ギルドなんだ。
一応、普通に仕事探すのも考えたが、残念だが俺は身元が保証できない。
どこの世界も、信用や保証がない人間は、普通のお店じゃ雇ってもらえないという話だ。
黒髪黒目も目立つらしいし、余計に無理そう。
という事で、俺がこの世界で金を稼ぐならギルド一択になってしまう訳だ、ははは。
……せめて何かチートスキルでも貰えたらなぁ、あのステータス作った神様じゃ期待出来ないが。
まあ、神様なのかも分からんし。
この世界のお金の単位はゴルドというらしい、分かりやすくていいな。
で、銀貨一枚で100ゴルド。大体食事一食位の価値らしい。
物価がよく分からんけど、聞いた感じじゃ日本円と比べてこんな感じ。
1銅貨 = 10円
1銀貨 = 100円
1金貨 = 10000円
白金貨っていうのもあるらしいが、リリエラは価値を知らなかった、普通に生きてればまずお目にかからないとか。
持ち家が無くて宿生活なら、一日500から1000ゴルド程度で生活出来るらしい、
ようするに、日給500ゴルドは稼がないと、街では生きていけない訳だ。
「しっかし、武器や防具も揃えるとなるとどうなるのか」
「えっと、中古の剣や防具だと、大体1000ゴルドからですね」
「……まず服だな。武器はこれでいいや」
「そうですね」
「そういやさ、リリエラが使ってる、その物騒なハンマーはいくらなんだ?」
「これですか?実家から持ち出してきました!」
「……家にそんなもん置いてあったのか」
「父が鍛冶師だったんです。武器はあまり作ってませんでしたけど、これは使えそうだったので」
「な、なるほどなぁ……」
試しに持たせてもらったが、普通の女の子が振り回せる重さじゃなかったけど?
リリエラは腕とかぷにぷにしてそうだし、普通の可愛い女の子にしか見えないけどなぁ。
まあ、胸は相当おっきいんじゃないかと思いますけどね?
あんま見ると失礼だから、見ないようにしてるが。
「元々はリリも鍛冶をしたいとお父さんに話したら、腕力を鍛えるための練習用にと貰った物なんです。
小さい頃はこれの半分ほどの物で素振りしてたのですけど、段々大きくなって、今の大きさになりました」
「リリエラの父さんは、自分の娘に何をさせたかったの?」
鍛冶の練習じゃなくね?
「まあ、リリが言い出したことなので」
「それはそうだけどなぁ」
本人が納得してるから、俺が言うことは無いが。
「武器として振り回せる様に、自分で調整もしましたし」
「調整?そんな事出来るのか」
「お父さんに習いましたから、簡単な鍛冶仕事なら一通り出来ますよ!」
「おおー、すごいな」
「えへへ」
いつかリリエラに剣を打ってもらうとか、そういう日も来るのだろうか。
あ、でもあんまり武器作ってないとか言ってたし、フライパンとか鍋が良いかな?
「ところでさ、リリエラから見て、俺って同年代の男子からみると、非力なほうかな?」
「そう思います、魔物を倒したことが無いのが大きいと思いますけど」
「ん、魔物が何か関係あるの?」
「魔物を倒すと魔力も上がり、腕力も上がりますから」
「そういうレベルアップ方式か……」
「れ、レベル?」
つまり、この世界では魔物を倒せば強くなれるという事だ。
わかりやすい。
彼女が強いのは、ある程度魔物と戦った経験があるからだろうな。
リリエラみたいな可愛い女の子が、スレッジハンマー振り回せる理由が分かった。
「俺も魔物を倒して鍛えないとだな」
「そうですね、ファイトです!」
ぎゅっと両手を握りつつ俺を鼓舞してくれる、やさしい。
あと、掛け声に合わせて揺れるゆれる、何処かは理解るな?
ちなみに、「ファ(↑)イト(↓)です(↑↑)!」だ、音にするとブルンッブルルンッだぞ。
うーん、いい子だなぁリリエラは、あと重ねて申し上げるが可愛い。
こういう子と一緒に冒険出来たらいいんだがなぁ、ラノベだとそういう展開になるんだが。
ただ、明らかに彼女のほうが強すぎるんだよな。
戦闘だと絶対に足を引っ張るし、流石に無理かな。
ま、今は考えても仕方ないか、まずは自力で生活出来るようにならないと。
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