フラれたことによる傷を癒しに行ったら学年1の美少女とお近づきに

ゆいと

第1話いざ、癒しの場所へ

 俺の何がダメだったんだろ。

 付き合ってまだ2週間ぐらいのある日、家で漫画を読んでいるとスマホの通知が鳴る。

 スマホを取り、通知を見ると「ごめん、別れよ」その文字があった。俺はその文字を見て固まった。しかし、すぐにハッとして理由を聞く。そして返ってきた言葉は「友達の時の方がよかった」よく聞くようなテンプレだな、そう思った。

 正直、まだ2週間しか付き合ってないんだしもっと色々したい、そう返したかった。でも、ここで縋るのはダサいと思ったし仕方ないと思った。だから、「うん、わかった」と簡素な返しをして俺の初めての恋は終わった。



◇◆◇◆



深く息を吸い込み、大きく息を吐く。変な人と思われたないのでさっさと扉を開けて入店しようと思い、ドアノブを触る。

でも、ちょっとビビっている。知り合いがいたら…とか考えながら扉を開ける。

「いらっしゃいませー!」

優しそうな店員の声が耳に入る。そして、どんどん癒される声が耳に入ってくる。

「にゃー」「ニャーニャー」

そう…ここは猫カフェなのだ。

席に案内され、

「よっこいしょーいち」

いつもの癖で言ってしまう。すると、カウンター席の方から

「ふふっ」

と笑っている女性の声が聞こえる。少しムスッとした顔になってしまうが、すぐに猫を見て顔がニヤついてしまう。

メニュー表を見て、適当にコーヒーとチョコレートケーキを注文する。

注文を待っている間、猫ちゃん達を見ていると、一匹の尻尾が短い猫が近寄ってくる。「にゃー」と鳴いたその子は俺の膝の上に飛び乗る。これは懐かれたということだろうか。そう思いながら恐る恐る膝の上に乗ってきた猫の頭を撫でた。その時…

「その子、滅多に懐かないんですよ」

柔らかい声が後ろから聞こえ、振り返る。すると、さっきカウンター席の方で少し笑っていた女性が立っていた。

「相席、いいですか?」

少し困惑したが、小さく頷き

「別にいいですけど」

そう言うと、女性は席に座り、対面する状態になった。お互い特に会話をしようとしないせいで、少し気まずいなと思った時、そのタイミングで

「お待たせしました!チョコレートケーキとコーヒーです!」

元気な声と共に、テーブルにチョコレートケーキとコーヒーが置かれた。

「ありがとうございます」

「それでは、ごゆっくりください!」

元気よく頭を下げて、店員はカウンターの奥へ歩いていった。

気まずい空気感に耐えられなくなったのか、向かい側に座る女性は口を開いた。

「あの、お名前を聞いても良いですか?」

普通、知らない人に名前は言うべきではないだろうけど、なんとなく柔らかい物腰から、警戒心が薄れて、

「福本 大河だ。ところで、君の名前は?」

「私は、竜宮 結蒼です。」

優しい微笑みで彼女はそう言った。

「ところで、なんで俺に話しかけたの?」

気になったことを、純粋に尋ねてみた。カフェの外の空では少しづつ日が沈みかけていた。

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