第一章『追憶の旅路』
A Journey of Remembrance the Prolog
第15話『追憶の旅路』
星歴10017年8月5日午後7時06分、アトラス海。
「アル…」
アルは何かを知っている。
私の過去を、出生の秘密を。
そのことに気づいたのはメルタタウンでの一件で私が月詠命を発現させ、暴走した時。
あれからしばらくして私はアルに出会ってから今までに見た不思議な夢の全てを鮮明に思い出した。
『ヨハネ・L・サンタマリア』『アルヴヘイム』『月下竜団』『すみれ』『月ノ宮』
この全てのワードがラヴクラフト…私の実のお父さんに繋がっていることも、ヨハネが私のお母であることも。
「なにか、知ってるんでしょ?」
私は甲板で夜空を眺めていたアルにそう問いかける。
「…知りたいのか?」
「当たり前でしょ、私の本当の両親を知れるなら」
と私がきっぱり答えるとアルは何か悲しそうな顔をしながら言う。
「…お前の出生の秘密、その全ては東の大陸にある。俺と…ヨハネが12年前の大戦で死ぬはずだった『王国跡地』…。そこに全てがある」
12年前の大戦…たしか東の大陸で起こった多種族間戦争。
「だが、後悔するぞ」
アルはそう言い、船内に戻った。
「王国…跡地」
何か、思い出しそうな気がした。
だけど…何も思い出せなかった。
後悔——その言葉は嘘ではなかった、と私は知ることになる。
そして翌日、東の大陸到着。
◈◈◈◈◈
星歴10017年8月6日午前4時33分、ルナ一行、東の大陸到着。
「マスター、どこか良さげな岸を探しましょう」
私が操縦室で『LoA』の説明書と睨めっこしていると白炎がそう言いながら部屋に入ってくる。
「…もしかして」
「ええ、おそらく追っ手は既に港で臨戦態勢を整えていると思われます」
「…白炎」
私は説明書に書いてあったある機能を試すために白炎に話す。
「なるほど…権限者の拡張機能、ですか」
「うん、最大10人まで増やせるらしいからとりあえず『月下竜団』のみんなで権限者になっておけば後々いいかなぁって」
「いいですね、皆さんを起こしてきましょうか?」
「いや、起きてきたら話そう」
「了解しました」
と会話を交わした後、白炎に二人目の権限者になってもらい岸を探してもらうことにした。
その間に私は操縦室を出て隣の部屋、食堂に移動しみんなの朝食を作ることにした。
◈◈◈◈◈
「ここなら問題はないかと」
あの後良さげな岸を見つけ、そこに『ロード・オブ・アーカイブス』を止めた。
「これで私たちは東の大陸に上陸できる…」
「はい、ですが一つ話しておきたいことがあるので皆さんを起こしてきましょう。マスター、少し待ってて下さい」
と、白炎はそう言い残した後、みんなを起こしに下に降りた。
しばらくして『月下竜団』のみんなとヨナが揃い、白炎が黒板とチョークを用意しある話を始める。
「つい最近東の大陸は首都である『カルマ帝国』の王が変わり、それに伴い各地では反乱が起こっております」
「あのよからぬ噂がある王か」
「ええ、ヨナさんの言う通り現在の王は色々と良くない噂がありまして…主に『偶像崇拝』ですね」
「偶像崇拝…」
「ええ、東とかつて存在した『南の大地』は数々の宗派が存在しておりこれらの国では『偶像崇拝』は法で固く禁じられております」
「だが、あの王が変え、反乱と…」
「ええ、そういうことです。なので特定の宗派に属していない『エルフの王国』を拠点にしながら『王国跡地』を目指したいのですが…」
と私を見ながら白炎が言う。
どうやら事情を知っているようだ。
「あの、何故…『王国跡地』なのでしょうか」
とメイが質問する。
確かに事情を知らないと跡地に行く理由がない。
白炎はどう答えるのか、と疑問に思っていると
「マスター…ルナ様の記憶、そして出生の秘密を知りに行くためです」
「…分かりました。それなら問題ありません」
コホンッと白炎が咳き込み
「では、これでよろしいですね」
と私に聞いてきた。
「…うん、これで行こう」
もう、覚悟はできた。
全て知るために——私たちは東の大陸に足をつけた。
「さぁ、行こう!ワクワクドッキドキの大冒険に!!」
⬛︎
未来への歯車は動き始める。
その先にあるのは、希望か絶望か。
ハッピーエンドか、バッドエンドか。
勇戦のアルヴヘイム・第一章『東の大陸編』、開幕———。
勇戦のアルヴヘイ厶 葵衣なつ @aoinatsu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。勇戦のアルヴヘイ厶の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます