第3話・料理人国王はヘソの穴から何を出す?

 走るホウキに股がって道を疾走していたセシルは、道でなにかを探している、人間と同じ大きさをした毒キノコの双子兄弟に出会った。


 一人のキノコ人間は

空を探して、もう一人のキノコ人間は地面を探していた。

 空を探しているキノコ人間に、地面を探しているキノコ人間が言った。

「どうして、空ばかり探している?」

 地面を探しているキノコ人間に、空を探しているキノコ人間が言った。

「どうして、地面ばかり探している?」


 セシルがキノコ人間の兄弟に訊ねた。

「いったい何を探しているの?」

 キノコの兄弟は顔を見合わせる。

「オレたちは何を探していたんだ?」

「探しているモノはなんなんだ?」

「あきれた、知らないで探していたの?」


「探しモノが何なのか探していた」

 その時──飛んできたフクロウが、近くの木の枝に止まって鳴いた。

「ホーホー、キノコの兄弟が探しているモノは、料理人国王が飲み込んだハンバーガーの種から発芽した蔓を引き抜く方法だホーホー……国王さまは、口とお尻の両方からハンバーガーの蔓が出てきてしまったホーホー」


 そう言って鳴いたフクロウは、どこかへ飛んでいってしまった。

 空を探していたキノコの兄が言った。

「思い出した、オレは王さまの口から出てきたハンバーガーの蔓を引き抜く方法を探して空を見ていた」

 地面を見ていた弟が言った。

「オレは王さまのお尻から出てきた蔓を抜く方法を探して、地面を見ていた」

 セシルが言った。

「上ばかり見ていても答えは見つからない、下ばかり見ていても答えは見つからない」


 キノコの兄弟がセシルに質問する。

「あなたは、お医者さんですか? ハンバーガー屋さんですか?」

「どちらでも無いけれど」

「それは、良かった専門家だったら……頭が固いので、当たり前の解決方法しか出せません……一緒にお城に来て、王さまの体から生えたハンバーガーの蔓を見てください」


  ◇◇◇◇◇◇


 セシルが毒キノコ兄弟と一緒に城に行くと、キノコ兄弟は誰も座っていない椅子に一礼した。

「王さま、何者でもない人を連れてきました」

 セシルが、不思議そうな顔で玉座を指差して訊ねる。

「その王さまの椅子が、しゃべるの? 椅子が王さまなの?」

「この椅子はしゃべりません……今は椅子を王さまにして、崇めています……料理人国王がいるのは厨房です」

「王さまに頭を下げるコトは、座っている椅子にも頭を下げているのと同じでしょう……だから、椅子に王さまの権威を与えたのです」


 厨房に入ると、コックの姿をして口とお尻から、植物の蔓を出した王さまがいた。

 体からハンバーガーの木の蔓を生やした、王さまが困った顔で言った。

「助けてくれ、ハンバーガーの実の種を飲み込んだら、こんな大変なコトになってしまった……目の前にハンバーガーが実っても自分では食べるコトはできない」


 考えていたセシルが、料理人の格好をした王さまに質問する。

「どうして、王さまが料理人に?」

「わたしは、美味しい料理を食べるのが大好きで好きな時に、好きなだけ食べるにはどうしたらいいのか。考えて自分が料理人になったらいいと答えが出た」

「それで、自分で作った料理を、自分で食べて楽しいですか?」

「思っていたよりも、ぜんぜん楽しくない……逆に人が食べて喜んでいる姿を見た方が楽しい気分になる……どうしてかな?」


 口からハンバーガーの小さい実が、ポツポツと出はじめた蔓を揺らしながら、王さまがセシルに質問する。

「君は、この国で誰が一番偉いと思うかな?」

「それは、やっぱり王さまでは?」


「そう思うか……仕立て屋がいないと、国王は裸だ、馬車を操作する御者ぎょうしゃがいないと馬車は走らない。城を守る兵士がいないと王が剣を持って城を守らなければならない……料理人がいなければ、王は飢えてしまう……一番偉いのは、王よりも料理人だ」


 セシルと料理人国王が会話をしていると、キノコ兄弟がまた言い争いをはじめた。

「引き抜くのは口の蔓だ!」

「いいや、お尻の蔓だ!」

「口から出ている蔓と繋がっていたら、どうする」

「お尻から出ている蔓と繋がっていたら、どうする」


 キノコ兄弟が同事になった、セシルの方を見て言った。

「王さまを助けるために、口とお尻……どちらの蔓を引き抜いたらいいと思う?」

 少し考えてセシルが答えた。

「王さま、おヘソを見せてください」

 王さまがおヘソを見せると、おヘソからもハンバーガーの蔓が少し出てた。

 セシルが、おヘソから出ている蔓を指差して言った。

「それです、おヘソの蔓を引っ張ってください!」

 毒キノコ兄弟が、おヘソの蔓を引っ張ると口とお尻から、出ていた蔓がズルズルと引っ込んで、おヘソから出てきた。

 王さまの口からゲップが、お尻からオナラが出て、スッキリとした顔で料理人の王さまが言った。

「体の中に溜まっていたモノが出て、スッキリした……スッキリついでに、頼みたいコトがある……わたしの一人娘で頭に中身を抜いた卵の殻をかぶって顔を隠した、王女の相談に乗ってはもらえないだろうか」

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