ヘタレも勇者を目指したい!〜仲間が強すぎて愛嬌しか取り柄がありません〜
草花ハヤシ
魔王城跡地にて
第1話 俺は勇者になる!
「ママ!はやくえほんよんで!」
「はいはい。こーちゃんは勇者様が本当に大好きねえ。」
母さんの優しい手がコージの頭をなでる。窓の外では星々がきらめいて2人を優しく見守っている。
「おれね、大きくなったらね、ゆうしゃになって、ママのことまもってあげる!」
母さんは優しくほほ笑んだ。
◆◇◆◇◆◇
俺はコージ!幼い頃から勇者を目指す超母親思いの優しい17才だ。母の日には毎年肩たたき券をプレゼントしているぜ。そんな順風満帆な人生を送る俺だが、1つ重大な問題を抱えている。それは…
「本日は魔王が倒されてから10周年の祝典です!皆さん盛大に楽しみましょう!」
「酒持ってこーい!」
…魔王が既に倒されているということだ!
魔王と勇者は対になる重要な存在だ。魔王がいないのはかなり痛手だが…そんなところで諦める俺ではない。勇者になるために俺に足りないものは何だ?それはもちろん修行だろう!
「母さんっ…。ズビッ俺っ強くなるためにっヒックじゅぎょうにいっでぐるがらぁっズビズビッ」
鼻垂らして泣きながら家を出たのも、今となっては遠い昔!俺はついに魔王が倒された地に辿りついたのだ!!
道中のモンスターとは戦ったのかって?いやぁ、なんかさ、俺も戦おうとはしたんだよ?でもぉ、先代勇者が結構狩り尽くしてたらしくてね?しょうがないっていうかぁ、別にモンスターが出そうな道を避けて通って来たわけじゃないよもちろん。
「どうすっかな、これから。」
ヘタレな自分が嫌いだ。勇者とは似ても似つかない弱っちくてマヌケな俺。母親に頼りっきりで情けない。こんな自分を変えたくてここまで来たのに、モンスターから、怖いものから逃げてさ。結局前とおんなじじゃないか。
ふと、前を向くと茶髪に無精ひげのくたびれたおっさんが目の前にいた。
「は!?誰だよお前いきなり!」
「お前こそ誰だよ!俺の墓の上でたそがれやがって!」
「は、墓?このこじんまりした盛り土が?」
こじんまりしてて悪かったな!と悪態をつくおっさん。確かに、座るのに丁度いい盛り土があったから座っていたが…。これがアイツの墓ってどういう意味だ?
「俺は勇者のハイゴズ。魔王と相討ちになってから幽霊やってる。」
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