おしゃべりカバのふうせん
霜月あかり
おしゃべりカバのふうせん
カバのコロンは、とってもおしゃべり。
でも、みんなが水あびしているときも、もぐもぐごはんを食べているときも、しゃべりっぱなし。
「ねえねえ、それおいしい?」「きょうの雲、パンみたいだよ!」
お友だちはちょっと困ってしまいます。
ある日、コロンはふしぎなふうせんを見つけました。
そのとき――「しゃべりたいこと、ふうせんに入れてみたら?」と声がしました。
「えっ?だ、だれ? ふうせんがしゃべったの?」
コロンは目をまんまるにして、ふうせんをじっと見ます。
ふうせんはゆらゆら揺れて、もう一度声を出しました。
「ためしに言ってごらん。きっと楽しいよ」
コロンは少しドキドキ。
「へんてこなことには…ならないよね?」
ふうせんはにっこり光ってうなずくように見えました。
「じゃあ……『こんにちは!』」
すると、ふうせんがふくらんで、空にふわり。
「わあ、ぼくの言葉が飛んでった!」
コロンは楽しくなって、次々とふうせんに言葉を入れました。
「おはよう!」「きょうもいい天気!」「ごはんはカレーがいいな!」
ふうせんは色とりどりになって、空いっぱいに広がります。
その夜。
みんなが見上げた空には、たくさんの光るふうせんがぷかぷか浮いていました。
「きれいだね!」「なんだか元気になる!」
コロンは気づきました。
「しゃべるのも楽しいけど、みんなで見上げられるのも、もっと楽しいな」
それからコロンは、少しだけしゃべるのをひかえて、
かわりに毎晩ふうせんを飛ばすようになりました。
夜空には、今日もふわふわと、カラフルなおしゃべりが光っています。
おしゃべりカバのふうせん 霜月あかり @shimozuki_akari1121
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