被疑者供述調書2(窃盗の経緯,要録)

私が自転車を盗んだ日のことをお話しします。

その日,私は,仕事の都合で,普段よりだいぶ早く帰れることになりました。

普段,最寄り駅まで,私の交際相手が車で迎えに来てくれて,その車に乗って帰ります。

しかし,早く帰れることになって,私の交際相手も帰宅しておらず,迎えに行くことはできないと言われていました。

そこで,家まで歩いて帰ろうと思っていたのですが,ふと,自転車置き場にある自転車が目に入りました。

自転車で帰ることができたら楽だな,と思ってしまい,気づけば,カギのかかっていない自転車はないかと,探してしまいました。

そして,カギのかかっていない自転車を,見つけてしまったのです。

時間が少し早いせいか,駅前にはあまり人がいませんでした。

そうしたこともあって,駐輪場からその自転車を出して漕ぎ始め,自宅まで帰りました。

問:自宅まで乗った自転車は,その後,どうしようと思っていたのか。

答:その日の内に,駐輪場へ返そうと思っていました。

問:本職が自宅を訪れるまで,路上に放置していたのはなぜか。

答:先ほど申し上げましたとおり,すぐに返そうと思っていましたし,自分のものではないので,宅内に入れることにためらいがありました。

問:駐輪場へ返した後,結局,歩いて帰ることになるのではないか。

答:帰りは,交際相手に迎えに来てもらうつもりでした。

問:交際相手に,自転車を盗んだことを,いうつもりだったのか。

答:いいえ,盗んだことは言わずに,駅から出てきたように装うつもりでした。

そうして,返そうとは思っていましたが,その前に,警察官の方に見つかり,その場はうまくごまかしたつもりでした。

ですが,やがて盗難届が出されるなどすれば,ごまかしきれないと思い,こうして自分から警察の方に申し出ることにしたのです。

被害者である自転車の持ち主の方はもちろん,警察の方々にも大変なご迷惑をおかけし,申し訳ございません。

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