石瞳(いしひとみ)

齊藤 車

石瞳(いしひとみ)

者見ると 石に変えゆく この瞳 鏡を見れど 我は変わらず


我恐れ 首取りに来た 益荒男ますらおは 一瞥いちべつののち ただの石像


盲目の 青年一人 逃げ遅れ しいたげられし 過去を聞き出す


境遇を 照らし合わせて 手を合わせ 共に涙し 傷を見せ合う


目を閉じて 人を信じて 生きし日々 あざむかれては 君を失う


目を開き ほふった者は 数知れず 君の代わりは この世には無し


石にする 者も辺りに いなくなり 君の埋まりし 傍にたたずむ


元人もとひとの 石くれ足で もてあそび 君から伸びし 花を愛する


君の花 散り果て種を 溢れさせ 風に運ばれ 何処いずこへと行く


目を閉じて 君の気配の する方へ 歩む足取り 悲しみは癒え

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石瞳(いしひとみ) 齊藤 車 @kuruma_saito

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