第11話 神道、道教、仏教、景教・・・

[newpage]#01 日本人の宗教観

 日ノ本では、地方に様々な特徴があり、言葉を含めて、異なる文化圏を持っている、多様性国家である。日本を日本国としているのは、親元での幼児教育から小学校教育の流れであり、12歳までに形成される、知恵と知識が、日本人の有り様を決めている。


 日本の場合、宗教観の背景として、自分自身を含めて、万物に神が宿るという発想にある。万物に神が宿るということは、モノひとつに宿っている神は、神の欠片でしかない。自分自身に宿る神は、守護霊と呼ばれたり、自分自身の自我と言われる。


 全にして一、一にして全The All-in-One, The One-in-Allは、人工神話体系の神であるが、八百万の神々の意を表す、端的な言葉でもある。


 神の奇蹟は、海を割るようなたいそうなものではなく、明日も東から太陽が昇って、西に沈んでいくことも、神の奇蹟である。「まおゆう」というアニメの中で、紅学士と化けたメイド姉が、「春の温かい光に、精霊のぬくもりを感じたことはありませんか?」といった、日常に起きている、奇蹟を、セリフとして顕している。


 天災は、神の怒りであり、理不尽なモノである。


[newpage]#02 神社の手水、整理・整頓、清掃・清潔

 崇神帝の日本征覇は、疫病の蔓延に端を発して、祀ろう民を守るために、神社に水場を設置して、「手洗い、うがい」が始まった。日本征覇は、中央集権化であり、日本全域を、祀ろう民とする流れでもあった。洗い清め、穢れを祓うのは、神社における祀り事の始まりであり、整理・整頓、清掃・清潔という形で、現代に伝承されている。


 神社の系列化と神話の体系化は、支配体制そのものの確立であり、神社に祀る神の一柱に、邪馬台ヤマトの皇子を組み込んで、氏神氏子という、神社の体制そのものを、主上おかみの下で、系列化を図ったのが、日本征覇である。


 日本人が、年末に大掃除をするのは、一年の穢れや汚れを、清め祓う行為であり、 新年を迎えるための、心構えとして伝えられている。日本の小学校で、整理・整頓の大切さを説き、清掃・清潔を子供自身が実行するのは、穢れを清め祓う行為そのものの習慣化である。

 日本の工場で、「ご安全に」の声で始まるのは、整理・整頓、清掃・清潔を推進し、日々日常の活動が、奇蹟を積み上げる行為そのものである。


[newpage]#03 神とは、怖れ、敬うモノ

 どんな神であろうと、怖れ、敬うことが、八百万の神々への、対処方法ということになる。クリスマスにキリスト生誕のお祝いをして、除夜の鐘を聞いて穢れを祓い、新年は、初詣に出かける。年末年始の行事に対する対応が、日本人の宗教観であり、神様への対処法ということになる。


 崇神帝に始まる、日本征覇の中で、神社の体系化が進められてきた。

 神々の中で、創世神となる、天御中主命が、滋賀県の近江八幡に祀られています。景教がもう少し、天平期に浸透したら、天御中主命が一神教の神となったかもしれません。


 七福神信仰は、古来より伝承されて、室町の頃に七柱の社を巡る、祭祀となって確立していったようです。

ゑびす神(日本古来より、蛭子神や大国主の伝承を担う神)

大黒天(ヒンドゥー教シヴァの化神、マーハカーラ神)

毘沙門天(仏塔の守護神、四天王きっての武神)

弁財天(吉祥天、市杵嶋姫命、瀬織津姫命、伝承を担う神)

福禄寿(道教、幸福財産長寿寿を担う神)

寿老人(道教、長寿寿を担い、歳神を象徴する神)

布袋尊(唐の禅僧が、弥勒菩薩の化神を担う神)

 七福神を見ると、様々な神々が、日本で宝船に乗って、祭祀となっている。人々の中で、習合していった神々。福禄寿と寿老人を纏めて、一神とすることもあって、一神を新たに追加されることもある、歳神さんや他の神さんを組み入れることもある。宝船と七福神は、日本人らしい、神々の祀り方となる。

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