第55話

家に帰ってから、新作の手直しをしたり、学校では梨紗が絡んできて、心がざわついて、るなもには目が合うと、悲しい表情をされて、逃げるように目を逸らされて、どっか行ってしまうっていう日々を過ごして、一週間経った。いつも通り、梨紗と一緒に登校をしていた。相変わらずボディタッチは多いが。それには慣れてきてはいたが、嫌悪感はなくならなかった。やっぱり今後も男避けに使われていたといったことは思い出すのだろう。


「それで今日はお弁当を作ってきたんだよ。透の分もね」


そう言えば、俺が告白する前はお弁当を作ってくれることはなかったな。たまに家で作りすぎたとか言って残り物を持ってくることはあったが。俺のために作ったわけではなく、あくまで残りものだから、俺のために作ってくれたのは始めてかもしれない。まぁ心はときめかないが。


「そうか、楽しみにしている」


手作りで思い出すのはるなもの作ったお弁当である。きっとあれより美味しく感じるお弁当はないだろう。俺はそう思うと胸が苦しくなった。やっぱりまだるなものことは大切に思っているってことだろう。でももう修復不可能だし、梨紗と一緒にいる間は、話しかけたくても話しかけられない。話しかけたら、るなものアイドル生活が終わるからな。


「ふふふ、私の渾身の手料理を家族以外で誰かのために振る舞うのは、透が初めてだよ」


それを聞いても、全くときめかない。どんなに時間が経ってもるなもの手料理語恋しくなる。別に好きだからって訳ではない。先輩としてあそこまで慕ってくれて、俺のことも助けてくれたのと、あれだけのことがあったのにるなものことを信用できる後輩だと思ったからだ。あんなことがあったから好きにはならないが。もしなかったから、好きになっていた可能性はある。


そして本千葉について、俺達は電車を降りた。相変わらず視線を集める。そんなに俺が梨紗といるのが、気になるのかね。俺は早く離れたいと思っているが。


それから下駄箱に着くと、梨紗とはそこそこ場所が離れているので、特に下駄箱をみられることなく、開くと、手紙が入っていた。俺が梨紗と一緒にいるから、嫌がらせを放課後にでもやるのか?


そう思い手紙を開くと、放課後体育館裏で待つとだけで、書かれていた。俺はすぐに手紙を鞄にしまって、放課後体育館裏に行くかと思った。


「嫌がらせならそれを受けるのも仕方ないと思っている。梨紗はそれだけモテるし、るなもにたいしての発言の罰だと思えば、拒否感はない」


「何かあったの?」


そう梨紗は聞いてきたが、ここで正直に言うと、めんどくさいことになるのは分かっていから、なんでもないと言った。


俺達は教室に向かい歩き始める。その間、梨紗は俺の好きな料理をなにかと聞いてきた。


「辛いものや味の濃いものだ」


「ざっくり過ぎない?」


「あれだその系統なら、なんでもいいってことだ」


るなもにたいしてみたいに細かく答えなくてもいいだろう。作ってほしいと願ってるわけでもないし。


「それなら、今日のお弁当は悪くないかもね」


そんなことを話していると、教室に着いた。俺達はそれぞれの席に座る。梨紗の周りには相変わらず人がよく集まっている。


「あの手紙はクラスメイトかそれとも上の学年か。どっちにしろ望月先輩が助けてくれることもはももうないだろうな」


これは俺が受けるべき罰だ。だからなんなりと受け入れよう。やがてホームルームが終わり、次の授業の準備を始めた。次は古文だ。まぁ進学校だから授業は難しいが、文系科目なら分からなくはないから、なんとかなるだろう。


その後特には困ったことはなく、午前の授業を終えた。その後、梨紗が俺の前の席に座って、お弁当を広げた。残り物を食べていて、分かってはいたが、やはり才色兼備と言われているだけあって、どのおかずも美味しそうだった。


俺はまず青椒肉絲から手をつける。いい感じに味が濃くて、美味しい。まぁるなもの料理には敵わないが。それは思いの強さだろう。それからお弁当を食べ終えて、俺達は会話をしていた。


「あれから望月ちゃんも会話してないよね?まぁあんなこと言ったんだから、できるわけないけど」


「してない」


るなもがアイドル活動できない方が嫌われるより辛いからな。


「それならいいけど、もし会話したら、分かってるよね?今日は私友達と遊びに行くから、先に帰るね」


それなら放課後のことを考えると、好都合だな。俺が罰を受けることがばれたら、梨紗は制裁を加えかねない。これは俺が受けるべき罰だ。だから邪魔をされてはならぬ。


「分かった。あまり遅い時間に帰るなよ」


遅くなると俺が必ず呼び出されて、家まで送ることになるからな。まぁ送るって言っても、家はとなり同士だから、家から、そこまで行って、また帰って来るみたいな感じだが。


「まぁほどほどにしておくよ。今度はデートしようね♥️」


そう言って、梨紗は色っぽい笑顔を見せた。全く心に響かないが。そしてお昼休みが終わり、俺達は教室に戻った。羨んでいるような視線を向けられながら。それは梨紗にも向けられていた。俺がイケメンになったからだろう。見た目が変わるだけで対応が変わるやつとは関わりたくないが。


そんなことを思いながら、俺は自分の席に座って、次の授業の準備をした。












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