ねこのまおうさま 〜 激かわサキュバス藍莉ちゃん

後田 ひなた

第三話 冒険者たちの後始末(4)

 空軍スタイルや警察スタイルではなく、鉄道無線スタイルでのやり取りを終えて、今度は送信周波数を瑞穂国貴族領きぞくりようリンゲン公国こうこくの警察が使う帯域に切り替える。


「リンゲン公安805はちまるごからリンゲン国警こつけい本部、応答願う」

『こちらリンゲン国警こつけい本部、公安リンゲン805どうぞ』

「リンゲン公安805。国鉄ストラスブルク本線の渓谷旧線、トロッコ・リンゲンきよう駅~トロッコ・レンスじよう駅間、ノイエラインがわ沿い非武装地帯における不法入国および動物虐待ぎやくたい密猟みつりよう事案、魔術戦闘の終了と赤飛龍の死亡を確認。不法入国者は小型船舶で国外へ逃亡とうぼうするものみられるが、非武装地帯のため当方では対応不能。国鉄ストラスブルク司令へは運転再開を要請済み。鉄道施設への大きな損害なきものと思われるため当方は撤収するが、警察で引き続き交通整理等、ならびに地元猟友会への出動要請を願いたい」

『そちらで交通整理を行っているレンス01ぜろいち02ぜろに05ぜろごに引き続き監視あたらせるので、撤収されてよろしい。猟友会へはこちらより要請する。ご協力に感謝』

「それでは以上、よろしく願いたい」

『リンゲン国警こつけい本部、了解した』


 警察スタイルでの無線のやり取りを終えて、さらに帝立国防空軍の周波数帯に切り替える。

 よほどの緊急事態の場合を除いて、それぞれ無線周波数帯や無線通話のやりかたが違って一斉に送れないので、めんどくさいが仕方がない。

 助手席でモミジイチゴをもぐもぐしている猫耳ねこみみ女子じよしがスマホで連絡入れてくれればこんなことには……。


「こちら帝立空軍、地域公安の宮内みやうち藍莉あいり2尉。空軍総司令部、応答ど……」

「にゃあぅ!」

「失礼した。送話そうわトケ(取消)。送話トケ。わたちゃん、どうした?」


 べしべしと、ふわふわな使い魔ちゃんがわたしのブレザーの左袖を叩くので、一旦無線の送信を中止する。

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