第54話:これぞ絆の力! カリスタの聖焔が闇を裂き、アステラの光が道を創る!
オリビアの決死の突撃が、カイヴァー・ドレークの展開する
万策、尽きたか。
誰もが、そう思いかけた、その時だった。
「――まだですわ!」
凛とした、しかしどこか静かな声が、戦場に響き渡った。
カリスタだ。
彼女は、これまでの焦りや苛立ちが嘘のように、澄み切った瞳で、カイヴァー・ドレークの斥力障壁を見据えていた。
「(ユウト、聞こえますの!? あの障壁、ただの物理的な反発力ではありませんわ! 負の魔力を高密度に圧縮し、あらゆるものを拒絶する、呪いのようなフィールドです!)」
思念通信を通して、カリスタの冷静な分析が俺の脳内に届く。そうだ。俺も薄々気づいていた。あの障壁は、俺の《解析瞳》さえも阻害する、特殊な魔力で構成されている。
「(ならば……!)」
俺とカリスタの思考が、完璧にシンクロする。
物理的な攻撃が通用しないのなら。純粋な破壊の力が通用しないのなら。
その呪いを、聖なる力で「
「(カリスタ、やれるか!?)」
「(誰に言っているのですの! 今までのわたくしなら、ただ力でねじ伏せることしか考えなかったでしょう。ですが、あなたの戦い方を見て、学んだのです! わたくしの聖炎は、ただ敵を焼くだけの野蛮な炎ではありませんわ!)」
カリスタは、深く息を吸い込むと、その身に宿す全ての聖なる魔力を、愛剣の切っ先、ただ一点へと、極限まで収束させていく。
それは、もはや炎ではなかった。
彼女の誇り、決意、そして仲間を守るという強い意志が練り上げられ、凝縮された、一本の黄金の「刃」。
「オリビア! アステラ! リーベ! カリスタの道を開けろ!」
俺の絶叫に、三人が即座に反応する。
オリビアが、地面に叩きつけられた体を引きずりながらも、再びカイヴァー・ドレークに突進し、その注意を引きつける。
アステラが、無数の光の矢を放ち、援護する。
リーベが、カリスタの周囲に、魔力の流れを整えるための支援フィールドを展開する。
「小賢しい真似を……! まとめて消し飛べ!」
カイヴァー・ドレークが、斥力障壁の出力をさらに上げ、オリビアとアステラを吹き飛ばす。
だが、その一瞬の隙で、十分だった。
カリスタの準備は、整った。
「わたくしの本当の力、その目に焼き付けなさい! 『破邪の聖炎』!」
彼女が放ったのは、破壊の奔流ではない。
全てを切り裂く、静かで、しかし絶対的な、黄金の斬撃。
その聖なる刃は、カイヴァー・ドレークの禍々しい斥力障壁に触れた瞬間、それを破壊するのではなく、まるで闇を払う光のように、その呪われた魔力を、霧散させ、浄化していく。
ジュウウウウッ、と、空間そのものが蒸発するような音を立てて、鉄壁を誇った斥力障壁に、一本の亀裂が走った。
「なっ……!? 私の障壁が……!? 馬鹿な、個々の力では我の方が上のはず…!なぜだ、なぜこの私が見知らぬ連携ごときに…!?」
カイヴァー・ドレークが、あり得ないものを見るかのように、目を見開く。
そのこじ開けられた突破口を、俺たちが見逃すはずがなかった。
「(アステラ、今だ! そこに、光を叩き込め!)」
俺の指示に、アステラが、渾身の光魔法を放つ。
光の奔流は、カリスタが切り開いた道を通り、カイヴァー・ドレークの鎧に、
「ぐあああああっ!」
初めて、カイヴァー・ドレークの口から、苦痛に満ちた悲鳴が上がる。
彼の纏う『アビス・アーマー』の一部が、砕け散り、黒い煙を上げていた。
だが、彼は、まだ倒れない。
傷を負った獣のように、その瞳に、憎悪と狂気の炎を、さらに燃え上がらせる。
「おのれ……おのれ、虫けらどもがあああああっ!」
その時、俺の頭の中に、ライブラの切羽詰まった声が響いた。
『ユウト様! 神殿のゲートを開放します! 最深部に安置されている『
ライブラの言葉と同時に、背後にそびえる巨大な神殿のゲートが、重々しい音を立てて、ゆっくりと開いていく。
「みんな、時間を稼いでくれ! 頼む!」
俺は、仲間たちに後を託し、神殿の奥へと、全力で駆け出した。
その内部は、静まり返った聖なる空間。通路の先に、一つの
そして、その中央に、まるで誰かを待ち続けていたかのように、一つの魔道具が、静かに置かれていた。
俺が近づくと、それに呼応するように、淡い光を放ち、微かに脈動した。それは、複雑な幾何学模様が刻まれた、白銀のガントレットだった。
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