第19話【わたし視点】すごいひとたちと、ぴかぴかのおみず!
わたしは、このごちゃごちゃした街がすっかり気に入った!
だって、ここには美味しいがたくさんあるんだもん!
わたしが黒いモヤモヤをちゅーっと吸ってあげると、しょんぼりしていたひとたちが、みんな元気になって、すごく喜んでくれる。
それを見ると、なんだかすごく、心がぽかぽかする。
わたしが、お腹いっぱいでごろんとしていると、子供たちがたくさん集まってきた。
みんな、わたしのぷるぷるの体に興味津々みたい。
わたしは、みんなが触りやすいように、体をべろーんって広げてあげた。
子供たちは、きゃあきゃあ笑いながら、わたしの体を優しくつついたり、撫でたりする。なんだか、くすぐったくて、すごく楽しい!
みんなと遊んでいたら、街の入り口の方が、なんだか騒がしくなった。
見てみると、すごく強そうで、厳しそうな顔をしたひとたちが、たくさんやってきた。
みんな、真っ白で、ぱりっとした服を着ていて、胸のところには、金色の太陽みたいな飾りがついている。
その中でも、一番偉そうなひとは、すごく四角い帽子を被っていて、眉間にずーっと皺が寄っている。よし、きみは『しかくさん』だ!
しかくさんたちは、わたしとビー玉さんたちの前にやってくると、すごく硬くて、難しい響きの音で、何かを話し始めた。
ビー玉さんは、顔の布を取って、しかくさんと真剣な顔で話している。黒騎士さんも、わたしの前に立って、しかくさんたちをじーっと睨んでる。なんだか、ぴりぴりした空気だ。
わたしは、そんなことより、もっと気になるものを見つけちゃった!
しかくさんたちの後ろに、石でできた井戸がある。中の水は、見た目は普通に透き通っているように見える。でも、そこから、ほんのわずかだけど、からそうな匂いがするんだ!
ごくり。
わたしは、ビー玉さんたちが話し合いに夢中になっている隙に、その場からこっそり抜け出した。
そして、そろーり、そろーりと、井戸に近づく。
よし、今だ!
わたしは、思いっきりジャンプして、井戸の水の中に、ぽちゃーん!とダイブした!
体中で感じるからさは薄かった。でも、この水の中には、ぴりぴりする美味しい成分が、たーっくさんある!
よーし、この旨辛成分、ぜーんぶいただいちゃえ! わたしは、ぴりぴり成分をどんどん吸い込んでいった。
ぷはーっ!
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