生きる理由

『綾香』二千二十三年七月九日日曜日。

 今日は待ちに待った優希との映画館デートの日であった。この日のために生きてきたと言っても過言では無い。

 私はまだ死ねない。優希がいる。優希と一緒に入れるならあいつらからの性的虐待せいてきぎゃくたいや暴力はかすり傷だった。明日優希と学校で会えるから。明日、菜々美の家へ遊びに行くから。今週の日曜には優希とデートできるから。たまにだけど、お母さんに会えるから。私は毎日些細まいにちささいな理由で生きている。特に今日は私が今日も生きたいと思える大きなきっかけだった。

 「あ、綾香」

 優希と目が合い私は手を振る。

 張り切りすぎて待合せ時間の一時より三十分ほど早く着いてしまったが、向こうも待ち合わせの二十分ぐらい前に来てくれたので、ほとんど待たずにすんだ。

 自分が住んでいる地域付近に映画館がないので、二つ隣の駅まで電車で行くこととなっていた。

 二人で切符を購入し、改札を渡る。

 「何時頃に来るんだろ」

 優希が時刻表を見ている。

「あーーおれこーゆうの読むの苦手だから綾香頼んだ!」

 笑いながら私を頼る姿が可愛らしかった。

「えーーまぁいいやけど。私は優希と違って読めるしぃ〜」

 少しからかい気味ぎみに優希を挑発する。

「おれも頑張ったら読めるわ!」

 言い返してくる姿がいとおしかった。

「次来る電車は十二時五十三分普通電車!」

「ってことはあと十分ぐらいか。」

「そやね〜」

 この何気ない空間が何より心地よかった。今日まで必死に生きててよかったと強く実感する。

 相変わらず優希からは柔軟剤じゅうなんざいの良い香りがする。少しでも近づきたいと思い、優希の腕に自分の肩がちょこんと当たるほどまで近づいた。

 その後も学校の話、雑談をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまい電車が私たちを迎えに来た。

「お、きたきた〜」

「乗ろっか」

 私たちはガラガラの普通電車の中へ入り、空いている席に二人横で座った。 

 幸せだ。

 私と優希は駅に着くまでの数分、電車に揺られながら周りに聞こえないような小さな声で会話を繋げた。電車の揺れのおかげで優希の肩にちょこちょこ、もたれ掛かるように顔が当たっている。嬉しい。だけど、やはりそんな幸せな時間は一瞬にして過ぎ去ってしまう。

 体感一分も経たないうちに、私たちは目的としていた駅へ到着した。

 まぁこれからも今日一日は幸せな時間を過ごせるので関係ないのだが。

「よいしょ」

 優希が椅子から立つときにそうはっした。そして「ん〜〜〜」と声を出し精一杯体を伸ばす。小さな言動、仕草、全てが愛おしかった。

「道わからんやけど、綾香わかる?」

 優希がケラっと笑いながら私に訪ねてくる。

「えーー方向音痴なのか?」

「方向音痴だよ」

 くしゃっとした笑顔が反則だった。

 優希は方向音痴らしい。前々からよく迷子になってたのは知ってたし、方向音痴の片鱗へんりん垣間かいま見えていたが、それが真実へと私の中で変化した。

 徒歩約五分。

 私たちが映画館のある大きなショッピングモールへと着いたのは一時すぎだった。

「やっと着いたなぁ」

「ねーー。疲れたぁ」

 私はそういい身体を伸ばす。

「見たい映画が始まるのが確か二時だったっけ?」

「確かそれぐらいだった気がする!一応スマホで調べてみるね」

 私はカバンからスマホを取りだし、映画開始時間を調べる。

「一応二時十五らしいから二時には映画館の方行こ〜。ポップコーンとかも買いたいし」

「おっけ!」

 優希が親指を立て、相槌あいづちを返す。

 映画開始まではまだ四十分ほど時間があったので、私たちはショッピングモールでぶらぶらすることになった

 私たちは入口付近にあるガチャガチャコーナーに吸い込まれるように入っていく。やっぱり学生といったらガチャガチャコーナーがゲームセンターに群がるものだ。

「なんかしたいガチャないのぉ?」

 口調くちょう可愛いなぁと心の中で思っていると返事が遅れてしまい、「生きてる?」と再度聞き返されてしまった。

「あ、ごめん。んーーしたいのか好きなアニメのやつがあったらするかもだけど……優希こそなんかしたいのないの?」

「んーーおれはあんまり好きなアニメとかもないし面白そうなんあったら回すかなって感じ」

 私たちは会話を交わしながらガチャガチャを見て回っていた。

「あ、これかわいい〜」

 私が猫のキーホルダーのガチャガチャを指さしながら言う。

「え〜これかわいいなぁ。え、やる?」

 またしても優希のクシャッとした笑顔に見とれてしまう。

 「えーーどうしよっかな。これ五百円するし金欠だからちょっと迷う」

 私が可愛いと言った猫のキーホルダーのガチャガチャは、一回回すのに五百円もし、ガチャガチャの部類では高い方になっていた。

 私が悩んでいると優希がさりげなく

「奢ってあげようか?」と言う。

 あまりのかっこよさに失神しかけたが、私は「さすがに申し訳ないしいいよぉ〜。買うとしたら自分で買う」と断ってしまった。

 本心では優希に奢ってもらいたいという気持ちもあったが、さすがに申し訳なさが勝ってしまう。

「んじゃとりあえず、おれこれ回す〜」

 優希が可愛らしい黒い上品な財布から、五百円玉を取り出す。

「えー優希回すんだぁ。ちなみに何色狙い?」

 心の底からの笑顔で問いかける。

「んーーおれオレンジ好きだしこのオレンジの猫ちゃん出てきてくれたら嬉しいけど全部かわいいからなんでも嬉しいかな」

 優希の好きな色を知れて嬉しい。家に帰ったらメモを取ろうと思った。

「綾香は何色が欲しいの?」

「え、なんで私?」

 顔がにやけている気がする。幸せなのだからしょうがない。

 「いいからぁ。教えてよ」

「んーーこの中だったら青色かな。ポーズも可愛いし」

「おっけー。出たらいいね」


 ”出たらいい”その言葉に軽く引っかかる。

 ガチャを引くのは優希なんだから出て欲しい色はオレンジなはずなのに。そう考えてるうちに優希がガチャガチャを回し始める。

 小さくガチャガチャを回す音が私たちの周りだけで響くので、まるで二人の世界に溶け込んでるような感覚におちいった。

 「何色だろ」

 優希が期待を込めてカプセルを取り出す。

「あ!青色じゃん!」

 優希が嬉しそうに喜んでるのを見ていると、こっちまでにやけてしまう。

「けどオレンジが欲しいんじゃなかったの?」

「いや?これ、綾香にあげようと思ってたから」

 急なことでびっくりした。

 一度断ったのになんでと思ったがぶっちゃけ嬉しさが勝ってしまう。

「いや、申し訳ないしいいよ」

「せっかく綾香のために回したんだから受け取ってよ!それにちょうど欲しかった色が出たんだし」

「あ、ありがとう」

 頬を赤らめ優希から猫のキーホルダーを貰う。ものすごく嬉しかった。ついつい「うへへ」と笑ってしまう。恥ずかしくなり、少し目をそむけた。

「けど、それじゃぁ優希の分が無くなっちゃう」

「おれはもう一回すぜ!おおそろいがいいしね」

 ”お揃い”だって。優希と。嬉しすぎて死にそうだ。優希のイケメンさに再度惚さいどほれてしまいそうだった。またしても「うへへ」と笑いそうになったが、ギリギリ耐えることが出来た。危ない。

 優希がカプセルを取り出す。

「何色かなぁ……」

 優希が欲しいと言っていたオレンジが出ればいいなと内心思いつつ、優希がカプセルを開けるのに苦戦してる不器用さを見て、可愛いと思う。

「なんだこれ。全然あかない……」

 不器用で可愛いよ。

「空けてあげよか?不器用さん」

 からかいながら優希が持っていたカプセルを受け取る。

 その時少しだけ優希と手が当たり、心拍数が一気に増加したような高揚感こうようかんに満たされた。

 私がすんなりカプセルを開封し、しれっと手が触れるように優希に受け渡す。

器用きようやなぁ」

「でしょ?ほら、何色だったか確認しよ」

 私が優希の持っているカプセルを覗き込むようにし、色を確認しようとした。

 顔と顔の距離が近くドキドキする。

「あ、青色だ。二連続で青色ってすごいね」

 優希が軽く笑う。

「オレンジ出なかったね。残念」

「いや、なんならいちばん嬉しい。オレンジよりも」

 なんで?と聞き返そうと思ったが私が言葉を発する前に、優希は「だって”お揃い”だし」と言い出した。

 その一言で、私の頭はキャパオーバーし、でダコが完成してしまう。

「あ、ありがとう」

 恥ずかしさで目をらしながら私は答える。語尾に小声で「うへへ」と笑ってしまった。聞こえてなかったらいいな。恥ずかしい。

  一瞬一瞬の時間が本当に幸せすぎた。この日のために生きてきてよかったと本気で思う。

 時刻は二時。

 私と優希はお揃いのキーホルダーをカバンに取り付け、映画館へやってきた。

「ポップコーン何味がいい?てかポップコーン食べれる?」

 列に並びながら、私と優希は会話を交わす。

 「ポップコーンだいすきよ!味はなんでもいいしそっちに合わせようかな」

 私は純粋に、優希の好きな味を食べたいと思った。

「一応おれは塩味好きだけど」

「まって!私も塩味が一番好き!」

 まるで運命かのように歯車が噛み合う。

「んじゃちょうどいいな。ジュース何飲む?」

「んー私ジュースとかの甘い飲み物飲めないから烏龍茶うーろんちゃでいいかな」

「おっけー」

 何を頼むかなど決めていると、あっという間に自分たちの順がやってきた。

「えっとポップコーンLサイズ一つで、烏龍茶とメロンソーダ一つづつください」

「以上でよろしいですか?」

「はい。ありがとうございます」

 優希がパパっと注文を終わらせたので、私は財布からお金を出そうとしたが、結局優希に奢られてしまった。

「ちょっと。さすがに半分は払うよ」

「映画代は奢れなかったし、ちょっとぐらいカッコつけさせろ」

 少し照れている様子の優希がものすごく可愛かった。

「わ、わかった」

「んじゃ次二人で出かける時にガチャガチャでも奢ってよ!これでウィンウィン」

「わ、わかった!ありがとね!」

 しれっともう一度デートしようと誘ってくれた。優希ともう一度この楽しすぎる体験をできると考えるだけで飛び跳ねたくなる。

「時間が時間だし、もうそろそろ映画館入るか」厳密に言うと映画館にはもう入っている。こういう些細な天然さが愛おしくついついにやけてしまう。

「行こっか」

 こんな時間が永遠に続けばいいのにな。

 

 映画がおわったのが、時刻四時四十二分頃。私たちは海辺を散歩している。

 船の狭間から差し込んでくる夕日が幸せを象徴しょうちょうしているようだった。

 夕日に照らされた優希の横顔が美しい。

「海辺は涼しいね」

「せやな」

「優希って夜ご飯家で食べるの?」

「まぁどっちでも行けるかな。ここで食べていく?」

「食べよー!けど、お金あるの?わたしは今日そっちに奢ってもらってばっかりだったから結構残っているけど」

「まぁ外食するぐらいのお金は全然あるよ」

「よかったぁ」

「結構腹減ったし奥まで歩いて引き返して外食探すか」

「そーしよ」

 私はお母さんの信頼を失わないためにしぅかりお母さんに連絡をする。

「今日友達と夜ご飯一緒に食べることになったから帰るの遅くなっちゃう。ごめんね」とお母さんへ送信し、スマホをポッケにしまった。

 優希と夜ご飯まで一緒に食べれるなんてどれだけ幸せ者なんだ。

 黄昏時たそがれどき、夕日が差し込んで輝いてる海を見ながら「”海は綺麗ですね”」と優希に問いかける。

「いきなりやな。確かにめちゃ綺麗」

 まぁ優希の方が綺麗だけどね。心の中でそう呟く。私はとっくにあなたに溺れていた

 。

「このへんで行き止まりかな」

「引き返して夜ご飯食べるお店探す?」

「探そーぜ。もうお腹ぺこぺこだよ」

 ”ぺこぺこ”の表現可愛いなぁと思いながら私は「私もお腹すいたぁ〜」と肯定の言葉を返す。

 手汗が気になる。そう、私は今、優希と手を繋いでいた。海辺へ出て数分、人がいない方まで歩いた後に、私が優希の手に自分の手を当てて繋いでくれないかな〜と期待していたら、期待通りに優希は私の手を繋いでくれた。それからずっと、私と優希は手を繋いでいる。幸せすぎる。日々の地獄をこんなにも忘れて楽しめたのは久しぶりだった。

 数分は経っただろうか。体感数秒しか経っていなかったが、私たちはショッピングモール内にあるフードコードに着いていた。

 時間の進みが早すぎて体内時計が狂いそうだ。

 ちなみに、人気ひとけが多くなってきた辺りで手を繋ぐのは辞めてしまった。

「綾香〜。何食べたい?」


「ん〜食べたいのが多すぎるよ。んーーめっちゃ悩むけど、優希と一緒のにしよっかな」

「おれはラーメンにしよっかな。綾香もラーメンでいい?」

「もちろん!」

 今回もパパっと優希が注文を済ませてくれ、私が「さすがに割り勘ね。絶対払わせてね」とゴリ押したので、優希がこの勢いに負けしょうがなく割り勘することになった。

「本当にお金いいの?」

「当たり前じゃない!逆にこれ以上奢られたら申し訳なさ過ぎてちょっと食べにくいよ」

「ならいいけど」

「今まで奢ってくれてありがと……かっこよかったよ」

 心臓が口から飛び出しそうな感覚に陥りながら、私は全神経を振り絞り”かっこいい”の一言を言うことに成功した。

「あ、ありが……とう」

 照れて言葉に詰まっている姿が愛おしく可愛い。

 ラーメンをすする姿。麺をお箸で掴めない不器用なところ。スープをレンゲで飲んでいるところ。私と喋っている時にクシャッと笑ってくれるとこ。全てかっかよく愛おしかった。

 二人ともラーメンを食べ終え、二人同時に

「ごちそうさま」を言い、フードコートを後にした。

 

 別れの時が近づいているのを時刻で確認し、気分が少し憂鬱ゆううつになる。

 時刻はとっくに六時をすぎており、私たちは現在、帰りの電車に揺られている。

 優希は眠そうな表情をしていた。二人共疲れ果て、ほとんど何も喋らなかったが、それでも幸せな空間が私たちの周りでひろがっていた。

 そのまま数分電車に揺られ、私たちは家から近い最寄り駅に到着した。

 唯一喋ったと言えるのは優希が「眠たいなぁ」と呟いたことだけであり、他は全く喋っていない。

 まだ別れたくない心の中でそう思うが、別れまでのタイムリミットは着々と進んでいく。

「駅で解散する?家の方向多分真逆だし」

 解散は絶対に嫌だという考えが生まれ、咄嗟とっさに「私、時間あるし優希の家まで着いていく!」と返した。

「まぁいいけどなんか申し訳ないな。おれが家まで送ろうか?」

「いや、多分私の方が時間余してるし、私が優希を家まで贈るよ」

「そこまで言うなら言葉に甘えて、着いてきてもらおっかな」

 優希のくしゃっとした笑顔が、夕日によって照らされ一層美しく見えた。

「いいよー!」

 私がそう返事をする

 優希と一緒にいれる時間が増えて、素直に嬉しかったし、なにより優希の家を知れるのは嬉しすぎた。

 私と優希は優希の家へ向かいながら、今日のことを軽く思い返しながら喋っていた。

 思い返してやっぱり、生きてきた中で一番幸せな一日だったなぁと思う。

 しかしその幸せがもう少しで終わってしまうことが悲しかった。

 この一日で、私は優希に完全に盲愛もうあい状態へとなっていた。

 また優希とデートしたいなと考えているうちに、今の雰囲気なら、次のデートに誘っても断られないんじゃないかなという考えが頭にぎったので、私は頭の中で優希を次のデートにどーにか誘いたいと葛藤かっとうしていた。

 葛藤の末、結果誘いたいという気持ちになったがなかなか踏み出せない。

 その時優希が「今日はありがとう。楽しかったな」と声をかけてくれた。この会話をきっかけに、優希を次のデートへと誘うことを決意した。

「私も楽しかった!こっちこそありがとう。奢ってもらってばっかりで申し訳なかったけど」

「それは全然いいよ!むしろカッコつけたかったから奢らせてよ!」

「なら、いいけど笑」

 微かな沈黙が流れる。今しか言うタイミングは無いと感じた。

「あ、あの。優希」

「ん?どーした?」

「あのさ……」

 身体の体温が急激に上昇するのを感じる。心臓が破裂してしまいそうだ。

「また今度、デートしない?」

「ん、全然いいよ」

 優希は、思っていた以上にあっさりと笑顔で承認してくれた。

 なので、私の心の力が一気に抜け落ち、「やったぁ〜」と魂が抜けるように優希に対し言い放った。

 その後、優希の家までついて行き、そのまま解散したが、次のデートが約束されているので、そこまでしんどくはなかった。

 しかも解散時に夜通話する約束をしたのだ。

 私は今から家に帰るとは思えないほど、生気を発していた。

 家へ帰宅し、優希と早く通話をしたいがために、颯爽とお風呂、歯磨きを済ませた。

 運が良いことに、今日は誰にも手を出されず、優希とのデートの余韻に浸れた。階段を駆け、自分の部屋へと向かう。ベッドに登り、スマホを充電器に差し込み、優希に「通話できる?」とメッセージを送る。

 優希から「しよー!」と返事が来、同時に通話がかかってきた。

「もしもーし」

「もしもし」

 やはり可愛い。

 その後適当に雑談を交わしたりしつつ、話のテーマは次のデートどこに行くかという話題へと変化した。

「ん〜どっか行きたいところある?」

「え〜むずかしいな。優希はないの?」

「ん〜この辺田舎すぎてまじで遊べるところないしな……ちょっと電車でまた遠出してみるのはありかも」

「んじゃ、水族館は?確か市内の方まで行ったら大きいところがあったと思うけど」

「え!いいじゃん!行こーよ!!」

 ノリノリで返事してくる姿が愛おしかった。

「んじゃ、行くところは水族館で決定ね!

 何日に行きたいとかある?」

「再来週の日曜日の7月23日とか空いてある?」

「全然空いてるよー!」

 てかほとんど毎日暇なんだ。

「んじゃ23日でも決定でいい?」

「いいよー!!」

 優希とのデートが決定して嬉しく、「うへへ」と笑ってしまった。スピーカーを通っていないことを祈る。引かれていないかが心配だった。

 その後、数十分雑談を交わし、優希が「もうそろそろ眠たいから寝るね」と切り出したので、互いに「おやすみ」をいい、通話を終了した。

 本音は寝落ち通話をしたかったけど、互いにお休みが言い合えるだけで十分に幸せだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る