折れた翼でも

 僕の翼は折れている

 折れ曲がり変形しバラバラに砕け

 最早姿形すら視認できないほど散り散りになった

 チリチリと身を焦がすような感覚

 ヒリヒリと喉を焼くような感覚

 ジリジリと締め付けられるような感覚に

 少しの胸の温かさと

 背中のむず痒さが混ざり合い

 僕の中で君の存在感が増していく


 僕の翼は内側から生成されたものと

 他者から吸収したものと

 他者から譲り受けたものと

 他者から託されたもの

 それらが羽根となり構成されている


 翼が再構築される期待

 存在感を増していく君が

 少しの胸の温かさと

 背中のむず痒さの正体


 終わることなどできない

 終えることなど由とはできない

 まだ続けていたい


 終わることなどできず

 終わることなど由とはできず

 続けることなどもできず

 続けることなど由とはできず

 ついには飛ぶことすら忘れ

 飛び方すら焼却された僕の翼よ

 今一度現れてくれ

 飛ぶのだ もういっぺんだけ

 ただもういっぺん飛び上がってくれれば

 きっと数多の縁が風となり

 初心の地へと

 見知らぬ高台へと

 果てない荒野へも

 運んでくれるだろうから


 もういっぺんだけ

 飛んでみようじゃないか

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