遠く遠くへ

 誰かが願った

 遠く遠くへ鳥のように飛んでいきたい

 とくとくと酒を注ぎながら

 大空を仰ぎ見ながら

 大空を飛ぶ鳥を見て憧れながら

 目を閉じた


 彼は烏になっていた

 漆黒の翼を羽ばたかせ

 烏は多くの人の頭上を舞った

 夢見心地だった

 これが夢かもしれないと気が付きながらも

 これが夢であってほしくないと願いながらも

 烏はただただ飛び続け

 空の巣で眠りにつく


 目が覚めると

 彼は彼でしかなかった

 彼は家を飛び出した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る