第15話 父への抗議、そして決意
母からの電話を切ったレオンは、激しい怒りと焦燥感に駆られていた。ユウキの必死の抵抗をよそに、王室の権力がついに彼の「嘘」の城に直接介入してきたのだ。彼は、自分の力で成功するという夢を、誰かの手によって壊されることに我慢がならなかった。
レオンは、震える手でスマホを取り、父である国王に電話をかけた。アヤカは、レオンのただならぬ様子に、ただ静かに彼の背中を見つめていた。
「父上、どういうつもりですか!」
電話口に出た国王は、レオンの怒りを静かに受け止めた。
「レオン、君の活躍は、私も、そして国民も誇りに思っている。しかし、王族が個人のわがままで行動することは許されない。君の活動は、すべて王室の管理下に置かれるべきなのだ」
国王の言葉は、レオンの胸に深く突き刺さった。それは、レオンの夢を否定する言葉だった。
「わがままではありません!僕は、王族の権力に頼らず、自分の力でどこまでできるか試したかったんです!父上は、僕の夢を、僕の努力を、すべて否定するおつもりですか!」
レオンは、これまでの苦悩と葛藤を、すべて父にぶつけた。しかし、国王は、レオンの言葉に耳を傾けることはなかった。
「君は、王族だ。その才能は、王室のために使うべきなのだ」
国王の言葉に、レオンは決死の覚悟で言葉を絞り出した。
「分かりました…父上が、僕の夢を潰すというのなら…僕はもう、父上のことを…家族を嫌いになります。僕が父上を嫌いになったら、どうなるか分かっているでしょう」
レオンの言葉は、国王の心を貫いた。電話口が静まり返った。国王は、これまでレオンを溺愛し、彼の幸福を第一に考えてきた。レオンに嫌われることは、国王にとって何よりも恐ろしいことだった。王としての威厳をかなぐり捨て、ただ一人の父親として、彼の心が凍りつくのを感じた。
レオンは、スマホを握りしめ、膝から崩れ落ちた。
その時、レオンの背中に、アヤカの温かい手が触れた。
「レオンさん…」
アヤカは、レオンの苦悩をすべて理解していた。彼女は、何も言わずに、ただレオンのそばに寄り添った。その温かさに、レオンは再び立ち上がることができた。
レオンは、一つの決意を固めた。彼は、王族としての宿命に抗い、俳優としての道を歩み続けることを決意した。彼は、王族の権力に頼ることなく、自分の力で大スターになり、自分の夢を、そして自分の「嘘」を、真実へと変えることを誓った。
レオンは、アヤカとユウキに、自分の決意を語った。
「僕は、この道を諦めません。どんな困難があっても、僕は、僕自身の力で、この道を歩み続けます」
ユウキは、レオンの言葉に感動し、涙を流した。
「レオン…俺も、お前の夢に、俺の人生を賭けるよ」
アヤカは、レオンの決意に、静かに微笑んだ。
レオンの「嘘」の物語は、ここから、新たな局面を迎える。彼は、王室の権力に抗い、自分の夢を掴むことができるのだろうか?
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