STORY1.6-黒い少女-
俺は失意のまま、地下鉄へ乗っていた。
いつもなら、ネットで調べ物をしているが、今日はそんな気にもならない。
ふとしたら、眠気が襲ってきた。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
あの”栞”の時の眠りとは違い、もっと暗い..
心の奥の「何か」を覗かれるような..。
また夢を見る。昔の夢なのだろうか?
俺の目に最初に映るのは、ある部屋。
人はいない。机、ベッド、CDがある。
なのに、鉛筆で何かを書く音が響く。
なぜだろうか?
後は丸め込まれた沢山の解答用紙の様な物。
クシャクシャにされていた。赤ペン採点跡。
手紙もある。何が書いてあるのか読めない。
次に俺の目に映るのは、会社。
俺が、新人で上司に怒られてる姿が映る。
思い出した。
あの上司はいつも優しくて気遣いが上手い、
俺がミスをしてもいつも庇ってくれた。
俺は尊敬していたのに。ある時突然辞職した。
最後は、さっきの呼び出される場面。
二度と見たく無かった。
あまりにも情けなくて。
やっとわかった。
多分之は俺の過去を再体験させる夢だ。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
突然、目が覚めた。
また知らないうちに眠っていた。
「次は ×××駅。」
暗い声が告げる。×××の部分は聞き取れない
乗り換え案内などはなく、ただそれだけ。
気づいたら、電車の通常灯は消えている。
外は地下の区間ではなく、地上に出ていた。
灯ひとつなく、ただ暗い。
まるで電車と外が一体化したような、、、
薄暗い空間が広がる。
窓と扉がなければ落ちてしまいそうだ。
急にキキーと軋む音を立てて列車が止まる。
列車を降りる。線路は黒かった。
多分、今回も前回の様に俺を誰かが連れてきた可能性が高い。
ホームには何もない。ただ黒ベンチがある。
そこに座ると、
まるで最初からいたように少女が座っている。
「相談か?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます