運命って意外と身近。

第1話・手強いの、知ってる。

「ごめん…」

 何か無理になって、いつも止める。相手にも悪いからとその後すぐ別れようって言うのが定番となりつつある俺の恋愛遍歴。

 いつも誘われるまま、付き合う事になり、そういう展開になり…。無理だなって。

 俺の気持ちがついていかないから?いや、単なる好きという感情が分からなくなるほど自ら誰かを欲する気持ちがない。無欲?そうでもないけど…。

「うん?」

 目の前の人が好きだなんて言えないまま、数年過ぎ去っている。

 今日も可愛い。

 これはもうファンの領域かも知れん。推しだな。と言い聞かせて早数年。

 告白するタイミングも見失った。

「どうした…?」

 顔、赤いぞ?と言われて、首を傾げている。

「俺、好きです」

「あ…」

「あ…」

 勢い余って告白してしまった…。

「ありがとう」

「………分かってます?」

 笑顔で拒絶をする同僚には、少し分かってもらわないと…。

「え…?」

「ガチの方なんで」

 言ってしまったら、本気だって言わないと…。

 全てが終わってしまいそうな気がして。怖かった。


 

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運命って意外と身近。 @tamaki_1130_2020

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