第三話 呪のあとさきへの応援コメント
今回は一気に物語の中核へ踏み込む回でしたね。柚真人が司を「妹」として遠ざけようとした瞬間に、前世の因果が噴き出してすべてが崩れていく流れが、あまりに痛切でした。
漣環という人物も印象的です。官としての冷静さと、司の叔母としての情、その両方を抱えたまま柚真人と向き合っている姿に、静かな覚悟を感じました。
「どうか、私の命のあるうちに……」という一言が、とても重いですね。老いていく漣と、老いを止めた柚真人の対比が、取り戻せない時間の残酷さを際立たせていました。
作者からの返信
怪異・ファンタジー系のお話にはありがちな長命種と短命種との差は、書き手が自分で思うところを文章にして表現してみたいと思う分野のひとつかなと思います。また、ごちゃついた情報をちゃんと文章に整理しきれているかどうかここも自信がなかったところなのですが、細かく読んでくださってありがとうございます。
第二話 警哭 03への応援コメント
今回は、柚真人という人物の“巫”としての在り方が、とても静かに、でも鮮烈に描かれていた回だったと思います。
無理に祓わず、「気が向いたら社まで来ると良い」とだけ告げる姿勢がいいですね。死者を一方的に処理するのではなく、相手の痛みや時間を尊重していることが伝わってきます。
また、事件の真相を“幽霊”ではなく、「警告しようとしていた声」として読み解く流れが美しかったです。最後、西へ歩きながら優麻へ短く連絡を入れる場面も、二人の長い時間の積み重ねが自然に滲んでいて好きでした。
作者からの返信
主人公と、事件と、主人公たちの事情、が関わる部分をどう文章にしたら伝わるかかなり試行錯誤しましたので、どうにか読んでくださった方に伝わるかたちになっていたようで安心できました。こちらも丁寧に読んでくださってありがとうございます。
第二話 警哭 02への応援コメント
今回は一気にサスペンス色が強まりましたね……。幽霊話として消費されている噂の裏に、現実の暴力がまだ生き続けていた、という展開がとても怖いです。
特にハルカが「幽霊なんかじゃなく、実在するのは事件と犯人だ」と気づくくだりが生々しく、恐怖に強い現実感がありました。
その一方で、柚真人の「これは俺の仕事じゃない」という線引きが印象的です。それでも“助かる可能性”を見極めて即座に動くところに、彼らが単なる怪異退治屋ではなく、“死者の声を聴く者”なのだという在り方がよく出ていますね。
作者からの返信
もともと、この物語は、ミステリーとホラーが好きなので両方平行して書くために、ミステリー部分とホラー部分を半々で両立させつつ話が作れないかなと思って描き始めたものでもありました。それを明確にしておきたいなーと思って書いたエピソードであったりします。
第二話 警哭 01への応援コメント
前半の日常的な「ちょっと嫌な帰り道」の空気感がとても巧みですね。幽霊を半信半疑で怖がる感覚が妙に現実的で、だからこそ“本当に何か出そう”な不穏さがじわじわ効いてきます。
一方で後半の、柚真人と優麻の食事シーンの穏やかさが印象的でした。「神社カフェ」という軽い話題をしながら、二人の背後にある長い喪失と時間の重みが静かに滲んでいるのがいいですね。
特に、「今でも料理を食べさせたい相手」が柚真人の中に生き続けている、という描写が切ないです。彼がまだ“失った誰か”へ向かって生きていることが、日常の描写から自然に伝わってきました。
作者からの返信
ホラー系のお話の描写は、読み手の人それぞれの感覚に頼るところもあるので、これで自分の頭の中にあることが伝わるように書けているかどうかというのが常に気になります。そのように読んでいただけてほっとできました。
第一話 道行への応援コメント
通学路の女子高生たちの何気ない噂話から、柚真人の「人ならざる美しさ」が立ち上がってくる導入がとてもいいですね。日常の会話の中に、ふっと怪異の気配が混じる感じが好きです。
後半の柚真人と優麻のやり取りは、黒酢酢豚やビールの話をしているのに、二人が背負う時間の異常さが静かに滲んでいて印象的でした。
「明けない夜」の中を、それでも日常を保ちながら歩いている二人の関係に、しみじみした強さを感じます。
作者からの返信
読み飛ばされてもそんなものかなというような細かいところまで拾ってくださって逆に頭が下がります。ありがとうございます。日常を描きながら非日常の世界を表現するのはホラー系の常套かと思いますが、文章を考えるのが楽しい瞬間でもあります。
序章之三 草薙の因果への応援コメント
ここまで読むと、「緋の花」の意味が一気に胸へ迫ってきますね……。鬼が巫女の血を忘れぬために花を紅く染める、という誓約があまりにも切なく、美しいです。
鬼と巫女の恋そのものは王道の悲恋でありながら、「殺して下さい」という願いを受け止めねばならなかった構図が凄惨で、ただのロマンスでは終わらない重みを生んでいると感じました。
また、鬼が復讐と愛執の果てに、人の輪廻へ入ることを願うくだりが非常に印象的です。序章で語られた“因果”が、現代の柚真人へどう繋がっていくのか、一気に輪郭を持ちはじめました。
作者からの返信
このお話を考えていたころは、まだカクヨムのような投稿サイトはくて、まわりも見えていなかったのですが、最近では鬼と巫女、鬼と生贄、鬼と花嫁、などをテーマにしたロマンス系のお話が増えましたね。
その中で、少しでも特徴のある物語になっていればいいなと思います。
序章之二 皇の因果への応援コメント
これは凄まじい序章ですね……。一族の因果と禁忌、その果てに生まれ落ちた存在の重みが、まるで神話のような筆致で語られていて圧倒されました。
特に、胎の子を「生まれたいと願っている命」として見つめる母の感情が切実で、単なる怪異譚ではなく、ひどく悲しい愛憎の物語として胸に残ります。
「緋の花」が血と因果の象徴として立ち上がってくる構成も美しいですね。最後の処刑の場面へ至る流れが、避けがたい宿命譚として強く印象に残りました。
作者からの返信
引き続きのコメントありがとうございます。人の胎から鬼が生まれるってどんな感じかなと考えて書いた覚えがあります。ファンタジー譚は、こういうありえないことについての想像を綴るのが、難しいですが、楽しいですね。
序章之一 果ての暁への応援コメント
序章らしい静かな導入ですが、暁の空を見上げるだけの場面に、これほど濃い喪失感と宿命の気配を滲ませているのが印象的でした。
「人なのだろうか」という自問が、単なる異能者の設定説明ではなく、もっと根源的な孤独として響いてくるのがいいですね。
最後の「己の夜は、きっと明けることがない」という一文、余韻が非常に美しいです。夜明けの描写そのものが、逆説的に彼の閉ざされた内面を照らしているようでした。
作者からの返信
本編まで、丁寧に閲覧してくださって、どうもありがとございます。
お話はカクヨムなどの投稿サイトにぼちぼち投稿していますが、内容にかかわる具体的なコメントをいただいたのはほぼ初めてなので、書いた内容が読んでくださった方に伝わるのだということに安心しました。
第四話 退魔の巫への応援コメント
今回は、柚真人を取り巻く世界の冷たさがよく見える回でした。彼がどれだけ皇の当主として務めを果たしていても、周囲からは「鬼」として見られている、その緊張感が痛いですね。
雅の涼やかな強さも印象的でした。退魔の巫としての誇りと自信があり、柚真人と対峙する可能性すら当然の役目として受け止めているのが格好いいです。
その一方で、最後に漣が祈りたくなるところが胸に残りました。職務と血縁、理と情のあいだで揺れる彼女の立場が、静かに重いです。