愛を教わった

沙華やや子

愛を教わった

夏に限った事じゃないんですけど・・・わたしは

「ひとり息子」命!です。


わたしは2度離婚経験があります。シングルの期間が長かったです。わたしには心の病があったので、元気なお母様よりも良い意味の「いい加減」ができず、休憩のために時々息子を施設に預けました。


まだ赤ちゃんだった息子を初めて乳児院に預けた時、乳児院をあとにした時の空の色を忘れません、息子を置いて来たときの空気の灰色を忘れません。辺りは色を失った感じ...

施設を出、わたしは、地元まで電車で帰ってきた際、息子の通う保育所へ寄る必要がありました。何故かというと、ベビーカーを置かせてもらっていたからです。

わたし・・・ほんとうに、忘れられません、誰ものっていないひざ掛けだけのベビーカーを押し、泣きながら歩きました。次から次へと涙が溢れ出て止まりませんでした。


特別に施設の方には小さなノートを渡しました。文字で真っ黒です。

息子に関してのお世話の仕方を「こうしてやってほしい」「この子はこういう性質があるからそういう時には・・・」等等、ち密にお願い事をノートいっぱいに綴り、先生たちからの返事もねだりました。おそらく違反です。しかし頭を下げ頼み込みました。可愛い息子のことが心配で不憫で苦しくて。できる限りのことを必死でしました。


お家に居る時は、赤ちゃんの頃から毎日絵本を読み聴かせてやると、とても喜ぶ息子!すごくしあわせでした。保育所の帰り道は、手を繋ぎ歩いて40分もあれば帰れるところ、息子の「あっち」「こっち!」に付き合い、お花を見たり蝶々を追いかけたり、2時間かかったこともあった。そうすると帰宅後一人ですべてやんなきゃなんないわたしは大変なのですよ。エアコンもシャワーも給湯器もない家で息子は幼いころ過ごしたのです。お肌のケアも死に物狂いでしてやりながら、オムツは途中まで一生懸命布おむつを使ったので二層式洗濯機を一日中回していました。自分一人のことさえも障害があり大変なのに、いのちの責任を守り通すというお仕事、でもそれはわたしが生まれてきていちばんの尊い時間でした。息子を育てることは。だって

わたしは悪魔から人間になれたんですよ。病状や幼いころに性虐待に遭ったトラウマのせいもありますが、わたしは相当の悪い奴でしたから。


息子の純白に触れた時、自分の中のほっこりとした、ふわふわな感覚、それでいてどこまでも消えない強いものがあることに驚きました。この子はわたしが絶対に守ると誓った。心底そんな自分に驚きました。息子が居なかったらわたしは今塀の中かもしれません。


現在大学生の息子は、優しくて正直者です。それでいてわたしみたいにうじうじしていなくて明るい。そしてけっこうドライです。子離れできない、こんな企画にまで「好き好き」書いちゃうママのことだもん、かなりウザがってはおります。尚更可愛くてしょうがない。


あんなちっちゃな手だった息子は、今奨学金とバイトのお給料のみで自活し授業料も何もかも自分で支払っています。進学するお金も奨学金を使った、つまり自分の力で彼は進学したのです。今は夏休みなので朝・昼・夜と働いています。親として1円もお金を出してやれない事が情けなく申し訳ないばかりです。


実は‥‥‥‥ 息子はカクヨムに居るらしい。ふふふ。

先日、電話で小説談義をしたときに判明。あ、息子とわたしは現在遠く離れた所に暮らしているんですよ。だからお家賃も彼は自分で払っていますよ!

先程の話ですが・・・わたしが小説を書き始めたのは2025年の春。息子はなんと10年も先輩の作家です。


わたしを生かし続ける息子。英語や歴史・政治のこと等 超知っていて教えてくれる息子。それでも

おもいうかぶのはいつまで経ってもよちよち歩きだったり、ぷくぷくとした5頭身ぐらいの愛らしい姿のボクなんですよ。

もしも息子がこの文章を発見したら怒るかもキャハ♪

母は君を愛しているという事だからそう怒んなさんな。


ママは死ぬまでロックし続けます。ロックに生きます!

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愛を教わった 沙華やや子 @shaka_yayako

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