第4話 8月18日 隣の庭にボール
夕方、裏の細い道で兄ちゃんとキャッチボール。
もう随分と長い間兄弟でキャッチボールしてる。
普段はいつも僕がキャッチャーだ。
でも今日は珍しくピッチャー役で、兄ちゃんはバッター。
「思いっきり投げろ!」
蝉の声と西陽の熱を背中に、全力で投げる。
カキーン!
ボールは一直線に飛んで、隣の家の庭へ吸い込まれた。
「おー、いい当たり!」
兄ちゃんは笑っているけど、僕は笑えない。
こういう時、なぜか取りに行くのはいつも僕。
「早く行けって。犬出てくるかもしれんぞ」
そんな脅しをサラッと言う兄ちゃん。
それに、ボール突る時に、まさか、
あの無口なあのおじさんが出てきたら…
背筋が凍る。
塀をよじ登ると、草の匂いと湿った土の冷たさ。
ガサガサ…風か、それとも――
心臓がドクン。
ボールをつかんだ瞬間、全速力で塀を越えた。
「おっそーい!」
兄ちゃんはまた笑ってグローブを構えている。
なんで僕ばっかり…。
でも、グローブの中のボールがちょっとだけ誇らしかった。
今日の気づき
「嫌な役目でも、やってみると自分のものになる」なんでもまずは挑戦。
Cherish today! Enjoy your adventures and don't look back on the past. Focus on the road ahead and keep moving forward!
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