第2話 8月16日 ドリルとヒラタクワガタ
朝8時。机の上にドリルが置かれた。
「そろそろやりなさいよ」
母の声にしぶしぶ鉛筆を持つ。
掛け算、引き算。
3ページ目に入ったとたん、数字が踊りはじめたみたいで、まぶたが重くなる。
「おーい!」
外から友達の声。窓の外にカズが立っていた。
「例の場所行こう、ヒラタ捕まえに行こうぜ!」
ドリルを置いて、水筒と虫かごをつかんで飛び出した。
自転車をこいで山のふもとの雑木林へ。
足を踏み入れると、土の匂いとひんやりした空気。
クヌギの木を蹴ると、茶色いツノがごそっと動いた。
光を反射してキラリ。デケェ。
手のひらでじたばた動く感触が、なんとも言えずうれしい。
昼すぎに帰宅。母が麦茶を出しながら一言。
「ドリル、進んだ?」
笑ってごまかす僕に、母は小さくため息をついた。
今日の気づき
「涼しい木陰は、僕らとカブトムシの秘密基地。」
Cherish today! Enjoy your adventures and don't look back on the past. Focus on the road ahead and keep moving forward!
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