皮肉とユーモアが見事に噛み合った、哲学的なコメディ。「面倒をなくしたい」と願うのは誰もが一度は思うこと。けれど、それを極限まで突き詰めた結果、ユースフルちゃんの行動は暴走しながらも、笑えるほどに論理的(?)です。最後の磨かれた眼鏡の描写には、混沌の中にも少しの救いを感じさせる温かさがありました。便利さの向こうにある人間の滑稽さを、痛快に描いた作品です。
発想のユニークさとテンポの良さが光る。暴走する「効率化」機械とズレた発明家の掛け合いが軽快で、鮮やかな描写が笑いを誘い、最後に温かみを残す読後感が魅力的でした。