祖父の戦争体験記

 

第1話

孫「おじいちゃん。戦争の時のお話聞かせて」


祖父「……わしは部隊長に付近の住民を殺せと命令されて7人も人を殺してしまった。本当に本当に辛かった。今でも彼らに責められる夢を見る」


孫「そうなんだ。大変だったんだね」


祖父「最近は物騒な世の中になっているから、おじいちゃんが天国に行ってもこの話を覚えておいてくれ。おかしいことにはおかしいと声を上げないとまた同じようなことが起きるから」












孫「おじいちゃん」


祖父「なんだい?」


孫「おじいちゃんはなんで今も生きてるの? どうして死刑にならなかったの?」


母「いろいろあったのよ」


孫「あと、おじいちゃんは7人も人を殺しているから天国には行けないよ」


母「コラっ。おじいちゃんになんて失礼なこと言うの!」


孫「おじいちゃんはさ、戦争が終わった後、その村に行って遺族の人にちゃんと謝ったの?」


祖父「……」


孫「直接謝罪は行けなくても、その役場に反省の手紙を送ったり、謝罪の意味を込めてお金を送ったりはしたんだよね?」


祖父「……」


孫「していないのに、殺した人が化けて出てくるって被害者ヅラ出来るんだ。のうのうと結婚して子どもを育てて、親戚皆連れてハワイ旅行に行けるんだ。おじいちゃんは本当に口だけだね。……あの時、僕と一緒に殺された6人が浮かばれないよ」


祖父「わ、わかった。ちゃんと償う。直接遺族に謝罪しに行くし、手紙も書いてお金も送る。これでいいのか?」


孫「あと、僕たちの家に飾っていた石も返して。あれはとても大切なものなんだ。そうしたらもう化けて出てこないし、おじいちゃんのことも許してあげるよ」


祖父「ああ、あの綺麗な石のことか。あれはおばあちゃんにあげて、死んだ時に棺に入れて……燃やしてしまった」

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祖父の戦争体験記   @hanashiro_himeka

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