(G4)Gカップの巨乳が夢の中で大嫌いな部長のおもちゃにされる

七月七日

第1話(一話完結)

 これで九回目だ。

 あと一回、あと一回で夢が現実になる⁈


 京香は、焦っていた。

「嫌だ、絶対に嫌だ」


 それは、京香の会社の一番嫌な部長と身体が入れ替わるという夢だった。


 朝起きたら、いつもと身体の動きが違う事に気づく。京香は寝る時はパンティの上にパジャマ代わりのスウェットの上下を着ている。


 しかし、その夢では京香は変な柄のパジャマを着ている。ピンクの生地に青いペンギンがいっぱいのっている何とも言えない柄だ。


 これが部長がいつも着ているパジャマだったらマジキモい。


 なんか身体が重い。ベッドに起き上がる瞬間にそう感じた。布団を捲り、足をベッドから垂らす。足先がいつもと違う。のっぺりとした甲高扁平足こうだかへんぺいそくの指の甲に毛が生えている。


 洗面所に急ぐ。鏡に映った顔を見て京香は叫び声をあげる。

 寝乱れた髪は頭頂部がスカスカで、寝汗で濡れた髪がべったりと頭皮に張り付いている。かろうじて両サイドに残った髪は半分白い。


 脂ぎった顔、一重瞼の三白眼の下に垂れ下がった醜いたるみ、真ん中に居座る低く幅の広い鼻、分厚い唇、ゆるんで垂れた頬、ほうれい線、二重顎、シワだらけの首。


 会社でいつもいやらしい目で京香をめ回す嫌な部長の顔だ。その顔が目の前の鏡の中にいる。


 顔だけではない。変な柄のパジャマの上衣を捲り上げるとそこにはだらしなく弛んだ胸と腹が見える。胸毛もへその下まで生えている。


 パジャマのズボンを下着ごと膝まで下ろすと、だらしなくぶら下がる男のシンボルが胸から続く毛の下に見える。


 京香の夢はまだ続く。今度は京香と入れ替わった部長目線の夢だ。


 京香と同じように、部長が目を覚ます。部長は灰色のスウェットの上下を着ている。布団を捲り、起き上がる部長。すぐに異変に気づいて、スウェットの上から胸を触る。口角が上がりいやらしい笑みが顔に浮かぶ。その顔は京香なのだが。


 京香と入れ替わった部長はスウェットの上衣を捲りあげ胸を曝け出して揉む、揉む、揉む。Gカップの胸をさんざん揉みしだいた後、スウェットの上衣を脱ぎ捨てた部長は片方の乳房を両手で掴んで伸ばし、桜色の乳首を口に含む。首を無理矢理曲げて乳首を吸う。


 部長は次にスウェットのズボンとパンティを足首まで引き下ろし、カーテン越しの朝日の中、曝け出された陰部を撫で回す。ベッドの上で脚を広げて奥の方まで右手の指で犯す。左手は乳を揉んでいる。さんざん弄った後、その指をねぶる。


 いつもそこで目を覚ます。部長に犯されたような感覚に、目覚めた京香は毎回吐き気を催すのだ。


「はあ、夢で良かった」

 だが、同じ夢を見続けると十回目にはその夢が現実になるという都市伝説があった。


「はあ、今日で九回め。あと一回」

 重い気持ちで京香は出勤した。


「おはようございます」

「やあ、おはよう、京香くん」

 部長はいつものように、いやらしい顔で挨拶を返す。視線は京香の胸元にある。


 以前はもっと直接的なセクハラがあった。

「今日も可愛いね」

「胸が重くないかい」

「いいなぁ、京香くんの恋人は、そのおっぱいを堪能出来るんだ」


 遅ればせながらやっと最近、会社にセクハラ、パワハラ、マタハラ等のハラスメントに関する対策室が設けられてからは、あからさまなハラスメントは激減した。


 だが視線までは防げない。

 京香は部長のいやらしい視線を無視して毎日を過ごしていた。あんな夢を見るのも、あの穢らわしい視線のせいだ。


「夢を見ないようにするには、寝ないのがいいのかな」

 京香は本気でそう考えた。


「それとも、酒を飲んで爆睡するか」

 京香は後者を選んだ。酒は好きだが、強い方ではない。飲んだら眠くなるタチだ。


 コンビニでビールと缶チューハイを数本買って、京香はほろ酔い気分で眠った。



 また、同じ夢を見た。

 部長が、京香の姿形をした部長が、また京香を弄んだ。

 京香の身体は、いつものように部長に弄ばれ、目が覚めたとき、京香は本当に吐いた。


「十回目だぁ〜!」


 慌てて飛び起きた京香は、焦ってすぐに胸を触ってみた。

 ある、Gカップの豊かな胸が確かにそこにあった。


「よかった。私のままだ、入れ替わってない」


 どうやら十回目に夢が現実になるのはただの都市伝説だったようだ。




「いやらしい視線もセクハラです!もう我慢出来ません!」

 出社後、京香は、部長に退職届を叩きつけ、そのまま会社を後にした。




 了

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(G4)Gカップの巨乳が夢の中で大嫌いな部長のおもちゃにされる 七月七日 @fuzukinanoka

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