中継5 乱調

 ボール!


 おっと、どうしたことでしょう。

 早瀬、ストライクがまったく入りません。

 ここにきて突然の乱調。黄埼につづいてボールを7球連発しています。

 スリーボール、ノーストライク。ベンチからは打たしていけ、との指示が飛んでいます。


 一発逆転のあるバッターですからね。逆転サヨナラも考えられるだけに、ここは早瀬くんも慎重にならざるを得ないところなんですが……。


 ピッチャー早瀬とキャッチャー谷岡のサインがなかなか決まりません。早瀬は谷岡のサインに首を振りつづけています。

 あっと、

 黒石錠が間合いを嫌いました。いったん、左打席から離れて素振りを入れます。

 再びバッターボックスに入って構えます。


 いかにも打ちそうな堂々とした構えです。代打ホームラン記録保持者の貫禄がでてますね。


 まさに代打の4番。赤沢、青柳、黄埼が埋めた塁上を黒石のバットで一掃してきました。我々は何度も彼が満塁の逆転ホームランを打つところを目撃しています。

 どうやら、サインが決まったようです。

 早瀬の足があがって——



 アウトォ!!



 おおっと、これは!!



    中継6につづく

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