キャベツがあれば、大丈夫!

無雲律人

キャベツ、君こそ有能の極み!

 台所を預かっている主婦、主夫、一人暮らし、お手伝い大好き民の皆様、毎日の献立を考えるのって大変ですよね。


 季節の食材、栄養バランス、ボリューム、味付け……考えなければならない事は沢山。もちろん、食材を購入する金額だって加味しなければなりません。今って物価高で色々高くて大変だからね。


 そんな、悩める人類に救世主が現れたのです。


 そう、台所における有能の極み、それは──キャベツ‼


 キャベツってね、凄いんですよ。生でも炒めても焼いても蒸しても煮ても茹でても何しても美味しいんですよ。しかも価格も大抵の場合はそんなに高くない! たまに不作で高騰するけどね。


 私はキャベツが大好きでですね、愛していると言っても過言ではありません。


 え? 言うてそんなにレシピあるかって?


 あるんですよ。ちょっと一例を挙げてみましょうか。


 まずは生部門。


 千切りキャベツはとんかつのお供として有名ですね。ざく切りにして塩や塩昆布で揉めば浅漬けの出来上がりです。キムチの素で和えても美味しいです。ごま油と塩を少々かけてそのまま頂くのもなかなかに美味。もちろん、マヨネーズをかけるだけでも美味しいです。マヨネーズと混ぜればコールスローと言い張る事も可能ですよ。


 次は炒め部門。


 野菜炒めにはメインとして鎮座します。価格の優等生もやしと合わせたらボリューム満タンですね。回鍋肉もキャベツがメインですね。こいつはご飯がススムやつ。


 野菜炒めに少し水を足して片栗粉でとろみを付ければ中華餡の出来上がりですよ。かた焼きそばや焼きそば、ご飯にかけてもラーメンにインしても美味しいですね。


 次は焼き部門。


 焼く? キャベツを?


 いや、これがね、焼くと美味しいんですよ。八等分くらいにしてオリーブオイルで両面を焼いて少し塩コショウをすればキャベツステーキの出来上がりです。ステーキに添えようものならそのマリアージュ(すいません、マリアージュって言ってみたかっただけです)にあなたのほっぺたも落ちるってものですよ。


 次は蒸し部門。


 今流行のせいろ蒸しにしてポン酢を付けて食べようものならその美味しさに天地がひっくり返るかのようです。


 次は煮る部門。


 キャベツは煮てもらうのは得意ですよ。何せスープがありますからね!


 味噌汁から中華風、洋風までどの味にも合うのがキャベツ。何というオールラウンダー。


 この部門にはロールキャベツだなんて高級な料理も入っていましてね、私はこの料理は大変だからなかなか作らないんですけど、ざく切りキャベツを鍋に敷いて、その上に味付けをしたひき肉を敷き、さらにキャベツを重ねて、トマト缶とコンソメと塩コショウで味付けをしてひたすら煮込んだ『なんちゃってロールキャベツ』なら良く作ります。一玉使っちゃうわよ。うふふ。


 ざく切りキャベツ重ね煮にはバリエーションもありましてね、鮭を載せて甘味噌で味付けをしたらちゃんちゃん焼きの出来上がりですし、豚コマ肉や豚バラ肉を載せて煮たら(蒸すとも言いますが)美味しい事この上なしです。


 煮る部門ではこれも忘れてはいけません。キャベツはラーメンの具としても有能です。素ラーメンじゃ寂しいなって時にざく切りをちょっとインするだけでそれはそれは美味しいラーメンの出来上がりです。もちろん炒めてからインしてもいいです。それはフライパンを使うから面倒よって人は、直接鍋にぶち込みましょう。


 次は茹で部門。


 ざく切りキャベツをサッと茹でて鰹節を振りまいて醤油をかけたら、あら美味しいおひたしの出来上がりです。ナムル風にしても良いし、ゴマ和えやピーナッツ和えにしても美味しいですよ。


 次はその他部門ですが、ここには強すぎるあのメニューがあるのです。


 そう──お好み焼き!


 お好み焼きにキャベツは欠かせませんよね。


 私は家に食材が無かった時に、キャベツに小麦粉と玉子だけをインしたお好み焼きを夫に出した事があるんですけど、「美味しい、美味しい」って食べてくれましたよ。キャベツとソースとマヨネーズのマリアージュ(二回目)の勝利ですね。


 あとこれは忘れてはいけません。餃子です。


 ニラとキャベツを刻んでひき肉やニンニクと合わせて皮で包んで焼く、茹でる、揚げる……。なんと素晴らしい世界がそこには広がるか!


 餃子は白菜で作る方もいますけど、私は断然キャベツ派です。今はキャベツとニラが刻んである袋のものも売っているので、餃子作りもハードルが低くなりました。



 どうです、キャベツのポテンシャル、凄まじいでしょう。素晴らしいでしょう。キャベツを見直しませんでしたか?


 私はもうキャベツが好きすぎましてね、キャベツが高騰すると「うちの食卓どうなっちゃうの!?」って狼狽えるほどにはキャベツに依存した主婦なんですよ。


「あんたの料理は、キャベツ・豚コマ・しいたけ」


 って母に言われた事があるくらいにはキャベツを食卓に出すからね。この間なんてキャベツ料理二品も夕ご飯に出しちゃったよ。


 もうね、冷蔵庫にキャベツと豚コマしかなかったら、中華餡にしちゃって「今日は中華丼です!」って言い張れば皆喜んで食べるから、うん。


 主菜から副菜まで何でもいけるキャベツ。キャベツの秘めたる力ときたらもうね、ここに載せきれないほどに沢山のレシピが存在するからね!


 キャベツが冷蔵庫に一玉あるだけで、食卓が豊かになるのですよ。もうキャベツ農家さんに感謝感謝ですよ。


 私は年間どれくらいのキャベツを食べているのだろうな。一週間に一玉は使っている気がします。


 キャベツ、愛しいよキャベツ。君が大好きだ、愛している。


 夫にすらそんな愛の言葉を囁かないのに、キャベツには囁くのか私は。もはや人ですらない。


 でもね、それくらいキャベツは有能なんですよ。世間がキャベツに気付いて価格が上がらないと良いなと思っています(ならこんなエッセイ書くんじゃねぇ!)。


 そう、キャベツ、君がいれば……キャベツがあれば、大丈夫!



────了

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