終末戦争、✕ 日前。

亜麻色ひかげ

プロローグ

 二〇五八年。互いに沈黙を保ち続けていた諸国は、遂に抑圧された憎悪を解き放つように戦争を始めた。しかし、この戦争は数ヶ月を待たずして幕を下ろすことになった。


 何故戦争が終わったのか? 理由は簡単だった。戦争に身を投じる人間そのものが、誰一人として残らなかったから。


 この世界を創生したとされる神は言った。この戦争は、どれほど抗おうとも絶対に回避することのできない事象であると。


 神はこれを『終末戦争』と呼んだ。何度やり直しても、必ずこの二〇五八年に世界は同じ歴史をなぞり、その度に人間は滅んだという。


 人間達が残した負の遺産は大きく、終末戦争によって破壊された大地はやがて地球を破滅へと向かわせた。


 そこでその者は、一つの策を講じた。人の姿となり、願いを持つ者に望みを与えることで、不幸の連鎖を断ち切り、幸福で溢れる世界にしようとしたのだ。


 これは、終末戦争の引き金を探し出し、繰り返される人類の終末に終止符を打つための物語である。

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