江戸時代に咲いた一輪の小さな花のような恋。

 時は江戸時代。貧乏長屋に住む女性と人外の若者が主人公。
 女性は大きな店でお針子として働く品のあるかわいらしい女性だった。そんな女性の長屋に、見かけない若者が転がり込んできたことから、物語は始まる。この若者はもうすぐある人外の長として許嫁と結婚するはずだったが、幼い頃に出会った人間の女性が忘れられず、人間の世に降りた来たのだった。そして女性も、幼い頃に誰かに恋心を抱いたはずが思い出せずにいた。
 互いに思い出せずにいたところ、女性にお針子指南の依頼が舞い込む。女性を案じ、想いを寄せていた店の若旦那の使いだった。人外の若者はこの若旦那を見て、自分から身を引くのだが――。
 そして人外の若者は許嫁の姫を里で迎える。しかし、その許嫁の姫には思いもよらぬ正体があったのだった。
 果たして、女性と人外の若者の恋の行方は?

 江戸時代と言う時代設定がちゃんと生きていて読みごたえがあるのですが、ファンタジー要素もあるので読みやすかったです。
 時代小説でありながら、恋愛ファンタジー。
 女性の強さ、儚さ、優しさに心打たれる一作だと思います。

 是非、御一読ください。

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