第17話 ②大砲製造現場がキラキラ

  大砲の砲身の真ん中あたりから台座に向かって支持台が取り付けられている。ここに、直径50cmほどの1/4の円弧の板が取り付けてあって、その外周にはギアが刻まれている。

 それを、ピニオンギアを回すようにして、これで、仰角の調整が少ない力でできるようになった。

 その円弧のギアの内側には、角度、到達距離の概算値が刻印されている。到達距離は、実際に打ち出して求めたものだ。大砲の種類や砲弾が異なれば、変わってくる。


〇×△


 出来上がった砲台を前にして、試射が何度も行われている。ランニングテストをして、ひび割れが発生したり、動きが悪くなったとこなどが記録され、次のバージョンの製造に活かされる。


 夜の反省会で、

「砲弾には風魔法で回転を与えていますが、そこの部分にもう一つ魔方陣を追加できませんか」

「複数の魔方陣はうまく起動できないことがあるけどやってみよう。で、何を追加するんだね」

「爆発魔法です」

「火薬の爆発で砲弾は飛び出しますが、それを助長する役目です」

「飛距離が伸びるな」


「速度も上がるので、海賊船に当たったときに威力が増すはずです。

 それともう一つ、砲弾の先端部分にも爆裂魔法を付与できませんか」

「つまり、海賊船に当たった瞬間に爆風が起こり、その一帯を粉々にする、か」

「正解です」

「強烈な改造だな」


〇×△


 1か月があっという間に過ぎた。軍曹に呼ばれたので執務室に入ると、

「よろこべ、臨時の出張が、正式な本部隊への配属に変更されたぞ」

「1週間の休暇を申請します」

「おー、おー、いいぞいいぞ、英気を養ってこい」

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