アザラシは今日も昼寝してる…
songdancer
アザラシは今日も昼寝してる…
塩辛い香りが漂っている海辺にアザラシの家族が昼寝をしている。
「ふむ……寝るのが大好き……」
末っ子のアザラシはそう呟きながら目を瞑った。
その時、大きなクラゲが泳いできて声をかける。
「アザラシさん、カモメ君から、向こうの宝石島についてお知らせは届いてないんですか?」
大きな声のクラゲさんのせいで、アザラシの家族は眠りから目を覚ました。
お父さんのアザラシが返事をする。
「そうだな。まだ何も知らせはないよ。北風がやんだら来るじゃないかな」
「そうですか。じゃ、その時にまたお伺いします」
再び静まった海辺でアザラシの家族は昼寝に落ちた。
その時、とても大きなイカが現れて声をかける。
「アザラシさん、いいお天気ですわ。久しぶりですね」
とても大きな声のイカさんのせいで、アザラシの家族は眠りから目を覚ました。
お母さんのアザラシが返事をする。
「そうですね。イカさん、お久しぶりですね。どこかへ行ってきたんですか?」
「この海の向こうの希望の海へ行ってきました。とても美しくてキラキラした生き物が住んでいましたよ」
「あらまぁー、行ってみたいんですね」
「今度お供しますね」
イカは手を振って波の間に潜って去って行った。
再び静まった海辺でアザラシの家族が昼寝に落ちた。
その時、とてもとても大きなイルカが近寄って声をかける。
「アザラシ君、海の精霊のアイリ様に会ってきました」
とてもとても大きな声のイルカさんのせいで、アザラシの家族は眠りから目を覚ました。
お兄ちゃんのアザラシが返事をする。
「すごい~、精霊のアイリ様に会ったんですか?癒しの歌は聞きましたか?」
「うん、とても優しくて心地よい歌を浴びさせてもらったから、心の憂いがなくなったよ。精霊のアイリ様の歌を求めて、たくさんの生き物が集まったよ」
「それは、すごいね。僕もいつかは会いたいよ」
「うん、もっと大きくなったら、一緒に行きましょうね」
イルカはウィンクをして仲間たちに加わり、泳いで行った。
再び静まった海辺でアザラシの家族が昼寝に落ちた。
その時、とてもとてもとても大きなクジラが波を立てながら声をかける。
「アザラシちゃん、会いたいからまた来たよ~ 」
とてもとてもとても大きな声のクジラさんのせいで、アザラシの家族は眠りから目を覚ました。
赤ちゃんのアザラシが返事をする。
「ひさしぶりでちゅ~、元気でちゅたかぁ?」
「うん、元気ですよ。宝石島を経て、希望の海を経て、真実島を経て、愛の海まで行って回って戻りましたよ」
「ね、ね、話してちょうだい」
「宝石島では富の女神に会いました。希望の海では長寿の女神に会いました。真実島では正義の女神に会いました。愛の海では宇宙の女神に会いました。とても大切な話を聞きましたが、秘密ですので言えません。アザラシちゃんも大きくなったら、ぜひ、旅をして女神からの知恵をもらってくださいね」
「うん、そうしまちゅ~、愛について学びたいんでちゅ~」
クジラさんは満面に笑みを零してお礼を言い、大きな手を振りながら泳いで行った。
再び静まった海辺でアザラシの家族が昼寝に落ちた。
今日も海は優しく歌を歌って、さざ波を起こし、暖かく抱いてくれる。
アザラシの家族は昼寝に落ちて、すやすやのかわいい夢を胸にしまって明日への扉をそっと開く。
アザラシは今日も昼寝してる… songdancer @soulsong
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