現代のモフかわあやかしVS 異世界の強面魔獣の大激突!!

ありぽん

第1話 戦闘、そして帰路へ

『それぇーぷー!!』


『グアァァァッ!?』


『あ、あっちに集まってる!! みんな行くよ!!』


『『『それー!!』』』


『グギャアァァァッ!?』


 クルルとヒナタたちが魔獣を攻撃すると、魔獣たちが大きな叫び声をあげながら、その場にドスンドスンと倒れる。俺はそれを確認したあと、今の状況を確認するために、空から確認してもらおうと、ユキに指示を出そうとした。しかし……。


「ユキは上から状況を……」


『ユキくんもやるっ!! ちょおっ!!』


「ユキ! ちょおっ!! じゃない!!」


 どうやらみんなの攻撃を見ていて、テンションが上がってしまったのか。ユキは自分も攻撃をすると、魔獣へ突っ込んで行ってしまった。しかし、ユキが狙いを定め、攻撃しようとした魔獣の元へ着く前に……。


 バシィィィッ!!


『あ~ら~!?』


 敵味方関係なくしっぽを振り回し、攻撃していた敵強面魔獣のそのしっぽに。突っ込んで行ったユキが、たまたま当たってしまい。ユキは思い切り、空へと叩き飛ばされてしまった。


「ユキ!? ああ、もう言わんこっちゃない! セレナ、ユキを頼む! それと上空から状況の確認を頼む!!」


『はぁ、仕方ありませんわね! 行ってきますわ!!』


 ユキをしっぽで叩いた魔獣は、何かが当たった? と一応気づいたらしく。一瞬動きを止め自分のしっぽを見た。


 と、クルルは、その動きが止まって瞬間を見逃さなかった。すぐにその魔獣を攻撃し、攻撃は魔獣に直撃。


『ガアァァァッ!?』


 魔獣はその場にドサッと倒れ込んだ。そうしてニコニコ顔で、俺に報告するクルル。


『優也、こっち終わったぷー!』


 それに続き、


『こっちも終わったぁ』


『今日もしっかり、決め台詞が決まったね!』


 続々と、みんなニコニコ、俺の周りに集まってくる。


「おい、まだ戦闘は終わってないんだぞ。警戒を怠るな」


 まったく気を抜きすぎだ。


『でも、気配はどんどんあっちのゲートに向かっていってるわ』


『だから大丈夫』


「いや、そうだとしてもだな。まだ完璧に戦闘は終わってないんだから、やっぱり気をつけないと……」


『戻りましたわ! この辺にもう魔獣はいませんわ。それにあそこを逃げて行っている魔獣たち。あれがゲートに入れば、もう問題なしですわ』


『ね、私たちの言った通りでしょう?』


『言った通り』


『ねぇねぇぷー。もう少しこう、この格好の方が良かったかなぷー?』


『う~ん、どうかな。帰ってからみんなに聞いてみようよ』


『そうねぷー』


「……お前たちはどうしてそうなんだ。はぁ、セレナ、ユキは?」


『ここにいますわ』


 ポンッ! レセナが元の大きさに戻ると同時に、俺の方へユキを飛ばしてきて、俺はユキをしっかりとキャッチした。


『へあ~』


「ユキ、大丈夫か? 怪我は?」


 どうやたら叩かれたせいで、少々目を回しているようだ。何を聞いても『へあ~』としか言わない。


『顔面を叩かれてましたわ。それで頭がふわふわですの。でもカーピの力で、そこまで酷くないし、痛くないはず。なので温泉に入ればすぐに治りますわ』


「そうか。じゃあゲートが完璧に消えて、確認作業が終わったらすぐに帰ろう。さぁ、みんな、和也おじさんさんの所へ行くぞ」


 俺がそう言い歩き出すと、みんなすぐに俺の頭に乗ったり肩に乗ったり、腕にしがみついたり背中にへばり付いたり。あとは俺の腕の中に、すっぽりとおさまってきた。

 はぁ、見える人が今の俺の姿を見たら、一体どんな状況だ? って思うだろうな。まぁ、今回は異界防衛隊員の方が多いから良いけど。


 全員で移動した先は、俺が所属する支部の支部長であり、親戚でもある川本和也おじさんのところだ。和也おじさんは、今回の俺の持ち場で、俺たちが倒した魔獣の死骸を確認している最中だった。


「和也おじさん!」


「おう、優希か。久しぶりだな。どうだ? 実戦にはもう慣れたか?」


「これでも、もう半年だし、それに実地訓練を何度も受けてるんだから」


「まだ半年だろう? それに実地訓練を受けたとしても、やっぱり自分たちだけでやるのは、現場の空気も緊張感も、まったく違うからな。まあ、慣れてきたせいで気を抜いてやられても困るが。今回だと……はぁ、まあ、お前たちはいつも通りか。こっちも一撃で決めてるしな」


『当たり前ぷー。ぼくたちが倒したんだからぷー』


『そうそう、当たり前よね』


『これからも、バッチリ攻撃を決めてやるぞ!!』


『でも今日は攻撃は良くても、他に問題』


『決め台詞とポーズがしっくりこなかった』


『だから帰ってから、みんなで話し合いするんだよね』


「……はぁ」


 俺は思わず溜め息を吐く。


「ハハハッ、そっちも相変わらずか。俺は見てなかったが、向こうの連中は、決まってたって言ってたぞ」


『本当?』


『でも俺たちしっくりこなかった』


『全部完璧が良いもの』


『みんなあれで納得? それはダメだよ』


『ユキくん、言えなかった……』

 

「ほら、ユキは寝てろって!」


 いつの間にか、目を回して『へあ~』としか言わなかったユキの意識が戻っていた。が、それでもまだ、俺の手の上でダラリと体を伸ばしているのに、ユキはみんなの話に混ざってきたんだ。


 いつの間にか、目を回して『へあ~』としか言わなかったユキの意識が戻っていた。だけどまだ、俺の手の上でダラリと体を伸ばしたままなのに、それでもユキはみんなの話に混ざろうとしてきたんだよ。


「ハハハッ、そうかそうか。そうだな、自分たちが納得してないんじゃダメだよな」


「和也おじさん、笑い事じゃないよ。毎回毎回、そんなことをしている間に、攻撃されて怪我でもしたら」


「まぁまぁ、今日の連中だったら、クルルたちなら問題ないだろう。俺としては、お前の方が心配だ。が、良いか、お前たち。相手はしっかり見極めるんだぞ。時と場合によっては、あれはやらない方が良い時もあるからな」


『分かってるぷー。ちゃんと分けてるぷー』


『戦闘前にダメな時は、終わった後にしてるから良いの』


「そうなのか?」


「まぁ、その辺はちゃんと考えているみたいだけど」


「なら良いが。本当に気をつけるんだぞ。と、ゲートが閉じるな」


 和也おじさんの言葉に、全員が振り返ってゲートの方を見る。すると、先ほどまでチラホラ見えていた魔獣たちは全て姿を消しており、ゲートからは紫色の光がわずかに漏れていた。そして数秒後、その紫の光も消え、ゲートは完全に姿を消したんだ。


「はぁ、今日は終わりか。どれだけの被害が出たか、これから確認するが。いつもよりも早く動けて、市民の避難誘導ができたからな。いつもよりは良いだろう。ゲートも消えたし、お前の担当場所は俺が確認したし、もう帰って良いぞ。昌也たちによろしくな。今度酒でも飲みに行こうって伝えておいてくれ」


「分かりました。それじゃあ俺はこれで。さぁ、みんな帰ろう」


『今日は飛んで帰りますの?』


「そうだな。ユキのこともあるし、飛んで帰ろう」


『分かりましたわ!』


 すぐにセレナが変身して、皆でセレナの背に乗せてもらう。


「それじゃあ」


「おう、気をつけて帰れよ」


 挨拶をするとセレナが空へと舞い上がり、家に向かって飛び始める。こうして今日の異世界人と強面魔獣との戦闘は終わったんだ。




      ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇


【あとがき】

お読みいただきありがとうございます。ありぽんです。


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