勘違い貧乳エルフ、日本の神社で胸囲1mm増える
名無しのおもちゃ箱
勘違い貧乳エルフ、日本の神社で胸囲1mm増える
エルフ族という種族は皆見目麗しい姿をしている。
その為、女性の第一印象は耳と胸で決まる。
耳は生まれつき長く、美しい。
胸は――大地のように平らだ。
族の基準で言えば、弓を射る為の子供用の胸当てすら余るほどに、ない。
祭りで着る民族衣装も、私だけ胸の布が余ってヒラヒラする。
おかげで村の子供からは「平地様」と呼ばれている。泣きたい。
そんな私がある日、古代の書物(村長の隠していたあられもない姿の女性が書かれた本)を読んだ。
そこに記されていたのは「日本」という異世界にある伝説の聖地――
豊乳神社。
曰く、そこを訪れ祈願すれば、神が胸を満たしてくださるという。
写真まで載っていた。鳥居、石段、絵馬に描かれた立派な乳房。
これは神話だ。聖地巡礼だ。救済だ。すぐに転生術の準備に取り掛かった。
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転生術の準備には半年かかった。
特に、術の素材である「純潔の涙」がどうしても手に入らなかった。
「お前が泣け平地様」
泣いた。素材は揃った。
この術にはルールがある。
滞在できるのは3日間だけ
次に使えるまで3ヶ月のインターバル
期間を過ぎると強制送還
滞在中に死亡した場合、死亡のまま帰還(怖い)
「3日もあれば巨乳になって帰れるだろう」
私は甘く考えていた。
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日本到着
到着した日本は驚くほど平和だった。
魔物はいないし、空気は澄んでいるし、道端で野菜を売っている。ただし棚に置いてあるだけで盗んでくださいとでも言わんばかりだった。
そして、豊乳神社は――思ったより、しょぼかった。
「ようこそ」
出迎えてくれたのは、巫女姿の女性。胸は……揺れていた。
目測Iカップ。
まさに神の奇跡。
「これが……御神徳!」
「遺伝だよ」
巫女はあっさり言い放った。
「そんなはずはない!」
「いや、うち代々そういう家系だから」
「神は人を試すお方……これは信仰心を測る試練だ!」
「めんどくさい客来たなあ」
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滞在1日目
普通に参拝。柏手を二度打ち、深く祈る。変化なし。
境内で書物に書いてあった「乳房繁栄の舞」を踊る。
巫女に「観光客が見てるからやめろ」と止められる。
その上「ここは安産祈願、母子安全の神社」などと訳の分からないことを言い出した。
更に「豊乳神社違う」などと、一体何なのだ。
夜は境内で月を見ながら瞑想。蚊に腕を刺された。
「これは胸を大きくする毒かもしれない」
「違う、それアブ」
滅茶苦茶腫れた。
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滞在2日目
乳をマッサージしながら柏手。地元民に通報されかけた。
「やめろ、近所迷惑!」
「信仰の一環だ!」
昼は村人から牛乳を譲り受け、風呂桶に注ぎ込み牛乳風呂を作成。
「何やってんの」
「豊乳の儀式だ」
「臭いから外でやれ、外でもやるな」
別の村人から豆乳、チーズとやらを譲り受けた何でも「タンパクシツ」が取れると言っていた。書物で読んだ胸をでかくする食物。自分で食すことも考えたが神へと奉納し奇跡を賜ろうとした。
腐らせ巫女に「食べ物無駄にするな」と叱られた
夜、絵馬に「Iカップ希望」と書く。
神主に「ここは安産祈願、母子安全の神社だ」と怒られた。
何を訳の分からないことを言っているんだ。
深夜、神に直談判しようと本殿に侵入した。
「コレは……乳の……模型……!!」
「違う、米俵」
コメダワラとはなんだ。
巫女と神主に怒られた。すごく怒られた。
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滞在3日目(最終日)
早朝から石段ダッシュ、縄跳び、腕立て伏せ。
なぜか筋トレ寄りになる。
「神の試練に耐えることで胸は鍛えられる」
「鍛えても脂肪は増えないよ」
「そんなことは無い!さっき参拝に来ていた老婆も言っていた!!''胸は鍛えれば応えてくれる''と!!きっとこの神社の巫女長老だ!!」
「違う、農家のおばちゃん。それ米袋担ぐ話」
最終チェック――
手水舎で手を清め、口を清め、耳を清めた。
巫女に怒られた。
満を持して測定した。
胸囲が、1mm増えていた。
「これぞ……神の御加護!!」
私は涙を流し、胸を張った。張るものは、ない。
「違う、それ浮腫み」
「違う!奇跡だ!」
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3ヶ月後
再び転生術を発動し、神社の石段を駆け上がる。
「また来たぞ!!」
「……あんた、また来たのね」
「おい、またあの変なのが来たぞ」
「変なのではない!信仰の徒だ!」
次の3日間で、私はさらに1mm増やすつもりだ。
半世紀あれば、夢のFカップだ。
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