第7話 転生者の街 ユトリル

翌日、朝になると詩は全快していた


「いゃ〜本当にどうなることかと思ったよ。

まぁとにかく元気になってくれて良かった!」


「本当にごめんね!

デンちゃんも心配させちゃったね…」


「本当だ!!心配したのだ!」

そう言いながら朝ごはんを食べ、準備を整える


「よし!みんな元気になったことだし、ユトリルに向かおう!!」


「うん!!」


襲撃を退け、自信がついたのか、昨日より足取りが軽い


〜〜〜〜〜

詩は、街を見渡していう

「なんとか日が沈むまでには着いたね…」


「あぁ、ここが転生者が集まる街

             ユトリル!!」


あたりを見渡すと、様々な種族が共存していて、現実の世界でよく見た街に近い。



「お腹すいただ!飯食う所に行くだ!」


「しょうがないな〜…じゃあデンちゃん、今日泊まるところと、食べるところを探そっか!」


「よし、行こう。それなら、どこか酒場のような場所で情報を集めたい」


「うん!」



少し歩くと、人で賑わっている建物を見つけた。

どうやら酒場のようだ。


カランカラン♪


扉を開けると、多くの人が楽しそうに話していた。

「何人?」

ここの主人だろう。女性が話しかけてくる


「2人です」


「向こうの空いてるとこ座りな」


椅子に座ると、横にいたおじさんから声をかけられる

「よう、兄ちゃん。お前さんはどこから来たんだい?」


「どこって…?」


「兄ちゃんも向こうから来たんだろ?

ここではなぜか言語が違っても普通に話せるからな。

ちなみに俺はカナダからだぜ!」



言語が違っても話せることは、明見さんから聞いたことがある。


「そうなんですか、俺とこの子は日本です。」



「日本か!あぁ、なるほど。

大地震が起こったらしいな!!

向こうから、1ヶ月前くらいに大量に来たから、何事かと思ったぜ


カナダも日本ほどじゃねぇが、たまに地震が来やがるからな…」


「ダン、あまり新入りを怖がらせないでくれよ?」

先ほどの女主人が水を持ってきた。

どうやらこの男はダンというらしい



「はじめまして、私はヒロ。

そうだ、お二人さん。

今日泊まるとこは決めてあるかい?

私のツテで安くなるところがあるが、どうかな?」


突然の提案に驚いたが、断る理由はない

「え…じゃあ……お願いします。」



「よし!決まりだ!!それじゃ、こいつはサービスだ!」

そう言われ、暖かいスープを食べさせてもらい、宿へと向かう。


外はいつのまにか暗くなっていた



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

目を覚ますと、天井があった



フカフカのベッドで眠れたことに感謝し、体を起こす



身支度を整え、部屋から出ると、ちょうど詩も支度を終えたようだ。



「とりあえず、今日することは、情報収集だ」


「結局明見さんは、自分たちで調べるものだって言って、世界の狭間について何も教えてくれなかったもんね…」



「とりあえず、今日は手分けをして街を探索してみよう。日が暮れてきたら、昨日の酒場でいいか?」



「うん、それで大丈夫!

じゃあデンちゃん!行こっか!!」


「うっひょー‼︎なんか美味しいもの食べるだ!」


そう言いながら詩とデンは民家の方へ向かって行った。



「じゃあ、俺は市街地の方へ行くか」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

向かった先ではたくさんの店が並んでおり、

元の世界でも売ってあった本や食べ物などから、初めて見るような魔道具や杖などがある


興味深いものはたくさんあった…


あったのだが……1つ気になることがある



マジック関係のものがないのだ


もちろん、魔法使いが使うような杖はあるし、魔法使い向けの本はあるが、いくら探しても、マジック用の小道具や本がないのだ。



何かがおかしい…いくら小さな本屋であっても、

「マジック入門」くらいの本はあるはずなのだ。



もしかして…この世界には…マジックというものが存在していないのだろうか…?



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

酒場の前に行くと、詩とデンが待っていた

「あっ!来た!!」

「遅いのだ!!」


「いや、まだ日も暮れてないし、そっちが早すぎるだろ…」


「だってお腹すいたんだもん!!」「だ!」


そして、店に入ると昨日と変わらずヒロさんが迎えてくれた。


「やぁ、お二人さん。今日は人も少ないし、カウンターにどうぞ。」



席に着くと、ヒロさんが聞いてくる

「2人は何かこの世界での目的はあるのかい?」



「俺たちは、世界の狭間を目指しています。どうしても元の世界に帰りたいんです!!」


それを聞き、一瞬驚いたように見えたが、すぐに元に表情に戻る


「へぇ…最近そういう人たちが多いねぇ…私が知ってるだけでも、5組くらいパーティーを組んでこの街から旅立って行ったよ」



「5組…俺たちの他にも…」



「それにしても、あんたたちは2人なのかい?

世界の狭間を目指すにはかなり危険だと思うが…」

ヒロさんが真剣な口調で問いかけてくる



「確かに…」

目的地が目的地だし、まだ俺はあまり強くないしで、反論ができない…


ヒロさんはニヤリと微笑みながら言う


「私、いい人知ってるんだけど紹介しようか?


あんたたちと同じタイミングでこっちの世界に来たやつだ。


それになんと…職業の等級は…


…あの伝説のSSSだよ!?」


SSS!?

詩がいるとはいえ、

もし職業の等級が SSSの人がパーティーに加わったら…心強いなんてものじゃない!!!


「ぜひお願いします!!」


「分かった。任せておけ。


でも…まぁ…なんだ…等級は SSSだから…



そいつのこと…よろしく頼むぞ?」


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見習いマジシャンが異世界転生!?〜誰も傷つけないマジックで異世界放浪!?〜 普通の卵 @hutuuno_tamago

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