第7話 時空2
小学校の廃屋にいる時、自分が実年齢で三十三歳であることを裏付ける賞味期限が二年以上ある
黒胡椒入りクッキーを見つけ感激して、男でも女でも好きな人たち十人くらいに
食べたことのないかなり美味しいそのお菓子をあげる。
しかしながら、そのお菓子を一本食べるだけで急に腹が膨張し、不思議な感覚におちいる。
親友のお母さんがその旦那の親友のお父さんを愛していた。
その親友はお母さんがお父さんの前でおならをしない、ということで悲しんでいたが、
今はお母さんがお父さんの前でおならをする、ということで悲しんでいた。
その親友のお母さんに念で頼み込んでいたのは、女が男を愛するというのは
どういうことなのか、と聞きたかったことだ。
もう一つは自分は生死の狭間をさまよっているが、その親友のお母さんに念で助けてもらおうと
しがみついていた。
そんなことはその親友のおばあさん以来だなぁと親友のお母さんは言っていた。
親友のお母さんはおばあさんにお座布団に座ってください、ほらっと座布団を出していたが、
そのおばあさんは親友のお母さんが正座している上にちょこんと座りこんでいた。
私も死にたくないと生霊として同じようなことをしていた。
そしてもし人を愛しているのなら、大切なものを愛していると思う人にあげなさい、ということで
期限の書きこんでいる黒胡椒のクッキーを袋ごと人にあげた。
するとクッキーを食べてしまい袋を捨ててしまったので、
これは愛ではないかもしれないと思うようになる。
Kは「こんな奴がいいのか?」と念を押していた。
*
スーパーに私がいる時、Kが「それを買わなくていいのか?」と時空を変える買い物(期限が異常に長い)
をさせようとする。結局、そのトムヤムクンの鍋のもとのスープを期限が過ぎ母が捨ててしまった。
時空の違うお菓子(今の時代より二年くらい賞味期限が長いもの)をコンビニで買い何人かの人に
あげたが意味を分かってはくれなかったのではないか。
*
また、無理やり時空を変えようと十二月に来年用のカレンダーを買ってきて、
来年の十二月までページを破って父の枕元に置いておいた。
*
村上春樹の小説の中で電子レンジの中に、茶碗蒸しのもとを入れてチンしたら
マカロニグラタンが出てくるという一説があった。
また『アフターダーク』の中の姉妹は時空が違って会うことが出来なかった。
そういう小説を読んで時空のねじれのようなものを感じるのは私だけではないのだなと思った。
*
三十二歳か三十三歳か分からなくなった頃、自分が何歳か分からないと言ったら、
誕生日の一日前に三十三歳でした、と話され安心する。
その後、自分の頭の近くに難しい数式がすうっと抜けていく感じがした。
未来の時空が来て、グラン・トリノのおじいさんと私と先輩がその時空を調整した時空は
省エネをしているが技術革新で電力のあまりかからない電力を使っているだけでなく
水素自動車などで光り輝く時代ではあるが、省エネや温暖化防止もとりいれている。
地球の寿命は延びたのだろう。
*
時空を超えてタイムマシーンに乗っておばあちゃんに会いに行き、自分の名前を名乗ったら、
あら偶然ですね、苗字が同じですね、と言われて涙ぐんだ。
私はおばあちゃんが私のことを知らないのだと悲しくなり、
おじいちゃんはまたおばあちゃんと結婚できると嬉しくなった。
なんでそんなにおばあさんに会いたいかというと今世、おばあさんが緑色になりながら
夢の中に出てきた。「おばあさん、人間に葉緑体があれば地球に優しい人間になると思ってですか?」
と心の中で思った。おばあさんは「新波(あらわ、地名)の女は露わ(あらわ)ではないのよ。」
と踊りながら近づいてきた。
おばあさんは、お笑いまで会得して、愛という感情を私に教えようとしている。
一等兵がいきなり大佐に質問していたので、もし私が中尉ならここは真剣に怒らなければいけないと、
ガンっと壁を蹴り上げ怒ろうとすると、その壁を蹴り上げた音にびっくりして一等兵が
偶然亡くなってしまった。私が多くの人に見捨てられた時、その一等兵の命の大切さを知りなさい
とおばあさんの心の声で言われてはっとした。私にとって大切な人たちが私に声をかけてくれない中でも
声をかけ続けて、一緒に居続けてくれるんだなと涙が出そうになる。
もし自分に愛という感情が芽生えなかったら、
中学時代に描いた絵のようにひどく孤独に傷つくのでしょう。
中学時代に描いた絵は、一本のバラを多くの手が奪い合おうとしている、
芥川龍之介の『蜘蛛の糸』のような絵であった。
*
節制をしてスタイルのいい人たちと、あんまん肉まん食べたいなの人たち。
あんまん肉まんは電子レンジでチンすればいいだけで料理が簡単で料理をする気もあんまりない。
別の時空の節制をする人たちが宇宙まで逃げ延びる人たちで、
あんまん肉まん食べたいなの人たちはお金がなく地球に残らざるを得ない人たち。
そこで大好きな友人と対立することになるとは思っていなかったが、
彼女の場合思っていることと言葉にすることが違うので他の人より考えが複雑で分かりづらい。
彼女の好きだ好きだは嫌いだ嫌いだという意味で、嫌いだ嫌いだは好きだ好きだという意味を
考えながら話を聞くと、ああ私のことは好きでいてくれるんだろうなと分かる。
私と彼女の対立の理由は、私の努力不足からだった。
これも違う時空の赤い服の女(私)と彼女の関係性。
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