第29話 協会の資格制度とライセンス継承史
協会の資格制度は、戦後まもなくの「トキワ荘」時代、手塚治虫が見込んだ若手漫画家を私的に集めた“推薦状”のような仕組みから始まった。湯川の依頼で能力者候補を育て、国家とは切り離された半ば秘密結社的な任意団体として産声を上げた。
高度成長期、手塚を初代会長とする科学漫画協会が発足し、科学技術庁との協定のもと能力者登録台帳と公式ライセンス証が導入される。朝永振一郎は、国家に窓口を開く代わりに「試験内容への政治介入を制限する条項」をねじ込み、国家・官僚と一線を引いた。
昭和末〜平成には協会は社団法人から公益社団法人化。手塚没後、科学漫画大賞と新人賞が創設され、受賞者はマイスターとして自らのチームを持つ権限を得るようになる。マイスター推薦を経て年一回の正式試験と高難度の一発試験が整備され、都内の火災・墜落連続事故への対応を契機に「ライセンス持ちの現地派遣」が災害対応の定常業務となり、資格は危険業務と補償を伴う“仕事”へ変質していく。
東日本大震災後、「特定能力者対策基本法」の制定により、協会は名目こそ公益社団法人のまま、実態は官僚が主導する準国家機関へと再編される。能力者登録と眼鏡使用ログの提出が義務化され、停止・剥奪の行政プロセスが明文化される一方、星野は消極的賛成、上青石は離脱、村田は距離を取り、能力者達の態度は分かれた。
現代では仮想空間が現実を侵食し、ライセンスも観測専任・実戦・限定条件付きなどに分化、リモート戦の枠組みも生まれつつある。“描ける者だけが戦えた”時代から、“戦うために描かされる”時代へ。その境界線の上に、キズナやアンナたちの世代は立っている。
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