第9話 幽霊!?
すると——
(ん? あれは、人じゃない?)
ちょうど目の前を通りかかった人物に、私は思わず目を見張った。心の中で「救世主だっ!」と叫んだ。
いろいろと気になるところはあったけど、一番大きかったのは、髪の色が紺色だったことだ。
(よしっ! あの髪色は攻略対象じゃないと見た。あの人に教室の場所を聞こうっと)
結構失礼なことを考えてるな〜と自覚しながら、私はその人のほうへ歩いていった。
「あの……すみ…」
「は?」
「え?」
言い切らないうちにその人物は声を被せてきた。
そして、信じられないものを見るような目で見られる。
突然の出来事に、頭の中ではてなマークが浮かぶ。
(私……なんかしたっけ? 普通に声をかけただけよね?)
「おまえ……なんで……」
「…?」
「俺のこと……見えてんのか……?」
「見えたから声をかけさせて頂いたんですけど……」
(え? ちょっと待って、どういうこと? 普通、そんなこと言わないよね? まさか……この人、本当は“見えない存在”とか……え、嘘でしょ!?)
「はっ! もしかして幽霊さん? えっどうしよう、リオって幽霊見えるの? 私は見たくないよぉ」
(どうしようどうしよう、私……普通の大学生だったんですけど! これ呪われるやつ? フラグ立てた? わざわざ、あの金色の髪の人から遠ざけたばかりに? 地獄の次は修羅場とか、勘弁してよ……)
落ち着く暇くらい、ちょうだいっての……!
「……おい、なにやら失礼な想像をしている気がするんだが……」
「あっ! 忘れててすみません! どうか呪わないでください……」
「……まず、幽霊じゃないのだが……」
「そうだったんですか!? よかった………」
(意味ありげな言葉、やめてよ……。心臓に悪いなぁ……)
思わず息をつく。あまりの緊張で、呼吸してなかった気がする。
ほっ……生きてた。いや、死んでなかった。っていうか生きてる人だった。
……何言っているんだろう、私。自分でもわからなくなってきた……
「……で、どうしたんだ? ……俺に声をかけたっていうことは助けてほしいことがあるんだろ?」
「はっ! そうでしたっ! あの、実は教室がわかんなくて………」
「…………」
(盛大にため息をつかれた?! なんで?)
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