第5話 気づいたこと

あれえ? 自分、天才かも……。よく気がついたわね……


リオが誰かと結ばれたから、銀色の髪に変わったってことは、魔力が分担されたことにならないかしら?


なら、このままいじめられるよりも、良い方向で立場が強くなったほうがいいに決まってる!


魔力を分担させる方法か……


……確か、リオは学院に通っていたのよね。魔力が強すぎて、上位魔術も使えた。

……それだけで、「悪魔と契約したに違いない」って言われたんだから。


まあ、髪色がこの世界になかったらそう考えちゃうかもしれないけど、さすがに十代の子に言うのは酷じゃない?


自分のダークブラウンの髪を見つめながら考える。


あれ? この通り、リオはお母さんに似てない。

この髪色はこの世界に存在しないのなら、リオのお父さんの由来ってわけでもなさそう。


──お母さんが不倫したと世間に言われていないのかしら?

そんな疑問が生まれ、思わず聞いてしまった。


「お母様、私を産んだ時、不倫って疑われなかったの?」


でも、すぐ後悔することになった。

リオのお母さんはキョトンとした顔で私を見た。


今のは聞いちゃダメのやつだった……。


慌てて、取り消そうと口を開ける。

すると、リオのお母さんはにこっと笑って、答えてくれた。


「今日のリオは変ね。ふふ。もちろん疑われたわ。でも、魔法で検査をしたの。そしたらね、正真正銘の我が子よ。誰がなんと言おうと私の大切な子供よ」


そのことを話すリオのお母さんは、本当に幸せそうだった。

赤の他人である私にも伝わったのだ。リオ本人もわかっていたに違いない。


……だから、自分の身に起きていることを話さなかった。いえ、話せなかった。


やっぱり、リオのためにもリオの家族にも早く幸せになってほしいわ。


そんな決意がますます私の中で燃えていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る