グランドマスター
エスケー
プロローグ
ある日、この世界に突如として現れた『ドア』その存在は、あらゆる形や大きさで現れるものの、ひとつだけ共通点を持っていた。『ドア』の向こうには、まったく異なる世界が広がっている。
人類は、これらの『ドア』を通じて現れる異世界の存在たちを『魔物』を呼ぶようになった。『魔物』は地球を侵略しようと現れた。
『ドア』が放置されると次々とブレイクし、異世界から溢れ出す脅威となる。
人類は『ドア』の対処法を知らず、初めのうちは無力だった。しかし、絶望の中にもわずかな希望が残されていた。それが『紋章者』と呼ばれる特異な力を持つ人々の存在だった。
♢♢♢
誰もが憧れ、誰もが畏怖した存在がいた。
いち早く混沌とした社会をまとめあげ、崩壊しかけた世界を救った者たち。
――『グランドマスター』。
その称号を持つ者は、世界にたった四人しか存在しない。
神話のように語られ、伝説のように畏れられる最上位の冒険者。
そして、これは――
ひとりの少年が『グランドマスター』を目指し、血と汗と絆を重ねながら、未だ見ぬ高みに挑んでゆく物語である。
♢♢♢
俺の名前は夜桜 天城、現在9歳の男だ。俺には四人の彼女がいた。
一人目隣にいる金髪ギャル、
二人目は茶髪のツインテールを腰まで伸ばした少女『天羽
三人目
そして、最後に四人目
こんな美少女を常に引き連れている俺は、当然のように嫉妬の視線を向けられる。
だが、そんなもの慣れっこだ。向かってくる連中は、すべて返り討ちにしてきた。ちなみにこの世界では『一夫多妻』も『一妻多夫』も認めらてるし同性婚も認められている。多様な社会だ。
今日もまた、因縁をつけてきた男たちを倒したところだった。
──俺には紋章がある。ただし、今はまだ覚醒していない。存在しているのは確かだが、俺の覚醒は人よりも遅いらしい。
だからこそ、俺は紋章の力を借りることなく、常に敵を打ち破ってきた。
「雑魚が!」
啖呵を切りつつも、俺の身体は傷だらけだった。息も荒い。だが倒れるわけにはいかない。
情けない姿を見せる訳には行かないからな。
「流石!私の恋人、強い!」
苺が瞳を輝かせて言う。彼女は強い男が好きだった。
「……美味い」
氷室 水は、俺が作ったクッキーを頬張っている。俺は意外にも料理が得意で、よく彼女に焼き菓子を渡す。水は食べることが好きで、ポケットにはいつも甘いものを忍ばせているのだ。
「正々堂々って言って……隠していた蛇を出す……はしたないですけど……素敵」
「流石〜悪い男って好き!」
瑞希はにやりと笑った。彼女は悪い男が好きだった。血に塗れた俺の姿を見ても眉一つ動かさず、むしろ愉快そうに拍手してみせる。
俺は幸せだった。
苺が笑って、水がクッキーを齧り、霞が小言を言いながらも寄り添ってくれて、瑞希が悪戯っぽく笑っている。そんな四人の彼女が、俺の隣にいてくれる。こんな時間が大好きだった。
いつまでも続けばいいな、と俺はずっと思っていた──。
ある日、俺は引っ越すことになった。
行き先は遠い場所で、もう簡単には戻れない距離だった。
見送りに来てくれたみんなは泣いていた。
俺だって本当は泣きたかった。
けれど、弱いところを見せるわけにはいかない
「寂しい……」
水ちゃんが小さな体を俺にぎゅっと預ける。思わず、俺はその頭をそっと撫でた。
「大丈夫だ、すぐまた会える」
「馬鹿馬鹿!なんで引っ越すのよ!」
瑞希が俺の肩を叩いた、その目は泣いている。
「ごめん……」
「私、恋人作るからね! いいんだよね! 引越すのやめるなら許すけど!」
泣きながら叫ぶ瑞希に、思わず目頭が熱くなる。
「おやめなさない、瑞希さん。天城さん、絶対に悪い女には引っかからないでくださいね。貴方の価値が下がりますから」
霞が少しあざとく笑うように口をはさむ。けれど分かる彼女も寂しがってることに。
「もちろんだよ。俺は見る目あるからな」
俺は苺の方に目を向けた、ずっとスカートの丈を掴んでいた。
「苺……?」
「嘘つき……私の傍に居るって言ったのに!」
「居るよ!ずっと居るつもりだ。再開が出来たら絶対にお前の事を奪いに行くから」
「私に彼氏がいても?」
「あぁ……」
「私の夫がいても?」
「もちろん」
「最低……だけど、待ってる。あまちゃん!」
苺は俺に抱きついてキスをした。
「あぁ、ずるい!」
「あらあら……はしたないけど……羨ましい」
「苺……ずる」
「早い者勝ちだもん!」
と、俺の前で騒ぐ可愛い彼女達だった──だけど俺は知らないこの先のことを。
♢♢♢
新しい小説を始めました。
一章までは完結していますが、修正箇所の確認も兼ねて、一度にすべては投稿できません。
12時に1話ずつ投稿していきます!
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