第9話 伊吹騒動
稲刈りの時期が迫る8月の末頃。
筆頭家老である
「今回は、いくつもある問題を解決ていくための評定である。まずは、年貢米の不作についてだが・・・・」
木俣が議題を進めようとした途端に
「年貢米など些細な問題に時間を要する暇はない!まずは、伊吹一帯にいる賊についての事が、重要なのではないかね?」
彼の声に応えるように旧領からの直臣団が、こぞって討伐の声を上げる。
「待て、待て。賊の討伐は重要であるが、まずは今年の不作分について、民にどのような対策をするかである」
木俣がそのようにしてなだめるも、直臣団は納得する様子はなく。次第に討伐隊を誰が指揮するのかの話題になっていった。
「いい加減になされい、宇津木殿!
幕府目付である
「すまないな、西郷殿。では、民への対策について・・・・」
再び木俣が評定を続けようとすると、一人の家臣が廊下を駆けて来た。
「申し上げます!賊軍が伊吹周辺を制圧し、弥高寺を占領したとの事。その数、百余り」
「なんじゃと!」
木俣を含む家臣団の動揺は、かなりのものであった。
機内の監視役としてこの地を得たにも関わらず、自身の領内すら治められないとなれば、召し上げられてしまいかねない事になるのだ。
「だから、早急に対策せねばならんかったのだ!グズグズしていたから、かような大事に」
泰繁がそれ見たことかと言った顔をしたままに、木俣へと噛み付く。
「土佐守殿に言った所で解決しないだろう。まずは、誰に討伐させるかでございませんか」
事態の急変により、西郷もこれ以上の言葉が出てこなかった。
「分かった。では、西郷殿を軍監に宇津木、木村、仙波、中村ら300の討伐隊とする。また、後詰として儂が率いる150を地頭山に置くこととしよう」
業を煮やしていた井伊家臣団は、木俣が討伐を承認を聞くなり、勇んで自宅へと戻って戦支度をし始めた。
「こうなると、歯止めが利かなくなるからな。西郷殿も、ミチャをしないように頼むよ」
「もちろんだとも。しかし、宇津木殿の入り込みようは、危ういものがあるぞ。討伐中に無茶をせねばよいのだが」
西郷と木俣の心配をよそに、泰繁らはまたたく間に戦支度を終えると、先発隊から足早に出発した。
三本峠の砦から南下して来た
「ここまでくれば、井伊家の討伐隊も出てくるだろう」
勘兵は、そう言って地図を広げながら岡野に言うと、彼の顔から血の気が引いていった。
「あの井伊家の兵が相手だ。生半可な強さではないだろう。切合となれば、百姓上がりの兵などは、ひとたまりもないだろう」
「そないな、ご無体な。何とかしてくれるって言ったじゃないですか」
岡野が勘兵に困った声ですり寄ると、勘兵が地図の上に駒を並べ始めた。
「井伊家の連中は、まだこの地に入って間がない。しかも、旧石田、浅井家臣を取り入れることをせずにいた。これは、今回の戦においては不利だ」
勘兵がそう言うと、影の方はら岡野が知らない者たちを率いてきた塩田清助の姿が現れた。
「和尚!なんでここに」
「儂がいたらまずいのか?」
「いえ。そうではありませんが」
「勘兵。準備の方はしておいた。伊吹の百姓達も『この程度なら』と力を貸してくれたよ」
塩田がそのように説明すると勘兵は、少し微笑んでから岡野に向き直る。
「いいか、岡野殿。ここからは、君たちの将来もかかった戦だ。だからこそ、これから言う事をしっかり守ってくれよ」
勘兵の言葉に、頷いて答える岡野の顔は、不安で一杯にになっていた。
彼にとっての初の実戦であり、今までの脅しやのも取りによる小競り合いではないからである。
「まずは、岡野殿の引きある部隊を10人ほどの小部隊に分けてほしい。部隊長には、浪人を宛行うといいだろう」
「10人一組ですか?まぁ、それくらいなら組めますが、そのような事をして勝てるのですか?」
「まぁね。戦いが始まった時は、なるべく槍や弓、種子島、礫などの距離を取って戦うようにしてくれ。接近戦は、最終手段だ」
「分かりあした」
岡野は、命令された通りに部隊を分けると、自分を含めた部隊長を選定したいった。
「この戦が、儂の関ヶ原じゃ。しっかり相手してもらいますぞ、井伊の殿様」
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