第二話 私の今一番の推し
幼児の娘を家において置けるはずもなく、道場の先生から「どうせ一緒に来るんだし、娘さんも一緒にやったら」とまだ入会年齢には達していない娘も入れてくれました(今思えば部員が増えて先生にしたらウマウマだったとわかる・笑)
格好いいことが大好きで、曲がったことが嫌いで、基本素直な東雲親子は不器用ながらも真剣に修練に取り組みました。
こういう世界に足を突っ込んでみてわかりましたが、努力と成長の過程ってヒーロー漫画とかそのものなんですよ!!
才能はもちろんあったほうが伸び率が違うと思いますが、大切なのは先生の言う事をよく聞いて『努力できる』こと。『諦めないこと』。
時間はかかってもこの二つがあればいつか必ず大きな舞台に立てます。
どんなに才能があっても辞めてしまったらそこで終わりですし、センスが良くても努力ができない子は成長が止まってしまう。そして周りの人間的評価も得られません。
最初に書いたように、子ども達は走らせたら学年で後ろから二番目という運動オンチ。
決して武道の才能があったわけでもありません。
そして習いはじめて暫くたったあとに発生したコロナ禍。
アレのせいで世の中は混沌とした世界になり、気合を発することが正義、人と組み合うことが基本の武道の世界にも暗い影を落としました。
ここで辞めた人も、やる気のなくなった人も数多くいました。
けれど無駄に前向きな東雲親子は「皆がやる気を無くしている中で頑張れば上へ行けるのでは!? きっと上手くなる! 道場で活動ができないなら家でやろう! 先生もこんな時だから気合を出すんだって言ってた! その方が鬱々しない!」とマットを買い、声が出せるところでは100%の気合。リビングで基本練習、簡単なトレーニングを繰り返していました。
その努力が実ってか? 息子はコロナ禍、全国で上位三以内に入ることができました。
……気がつけば、居心地の良いリビングはマットが敷かれ、時間がないので洗濯物や配布物が机に山積みになり……練習日も増え週に4日送迎、付き添い。以前やっていた習い事は全部やめて1本化。
専業主婦だったのに遠征費を稼ぐためにパートに出ることに。
えー……インドア派で子どもの習い事の付き添いなんて絶対に嫌! と思っていたはずなのに(いや、今でも嫌ですけど笑)今じゃ道場でも古株になってしまいました(笑)
大会ででっかい声で応援したら隣りにいた知らない人達に「ひえっ……(こわぁ……)」って言われちゃった……(怖くないよ―優しいよ!)
息子はもう高校生なのですが、いまだに子ども達の行くところにはマネージャーのようについて回り、仕事場と練習場をぐるぐるハツカネズミのように巡る日々……稼いだ金は全部子ども達に注ぎ込んでます(笑)
……これって推し活だよね??(笑)
カフェ巡りや雑貨屋巡りなんて全く出来なくなりました。
スキマ時間でやれる趣味……カクヨムを始めました(笑)
カフェには行きたいけど、ただ家にいる時は疲れてしまって誰も家から出ようとしないのでやっぱりインドア派……??
この夏も、出かけたところと言ったら道場と、大会応援(なお、県外であるが行ったのはホテルと体育館の往復のみ)くらい。
それでも子ども達の青春の一コマに私も加えてもらえるという有り難さに胸を躍らせながら、これからもせっせと推しのために頑張ります。
息子は持久走学年ワースト2位から、今ではクラスでトップクラスに足が早くなりました(短距離だけど)縄跳びも隼が飛べるよ!!
……なので運動音痴のお子さんをもつ親御さん、諦めないで!!(笑)
しかし、子ども達はシュッとしたのに私はボテッとしたのなぜだろう……解せぬ……。
❖おしまい❖
私の今一番の推し 🐉東雲 晴加🏔️ @shinonome-h
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