第6話 鬼の棲む村
「本当にこの辺りで間違い無いのか?オビト」
「間違いも何も地図に載ってねえんだから確かめようがないな」
俺とミツヒデとシノの3人は今地図に載っていないある村に行こうとしている。地図に載っていない村に何故辿り着こうとしているかは1週間前に殺人未遂で捕まえた1人の男の口から興味深い事を聞いたからである。その男は昔その村に招かれある秘密を共有したという。男が軽口な事で秘密が秘密では無くなったのだが、30年前に真尋の母親らしき女性とその女性と同じ歳の女性がその村から出て行った、2人は17歳でとても綺麗な顔立ちだったという。逃げた後、真尋の母親は恐らく何らかの形で恭二と知り合い結婚したのだろう。もう1人の女性も誰かと出会い結婚したのだろう、そうして生まれたのが真尋と美麗だ。偶然にも真尋と美麗は場所は違えど同じ時期に生まれたらしい。真尋の両親と美麗の両親が同じ時期に殺害されている事からこの村を逃げ出した事が関係していると睨んでいる。
「オビトさん結構山道進んで来ましたけどこんな所に村なんてあるんですかね…」
「シノ地面よく見てみろ、だいぶと歩きやすくなってると思わないか?」
「あっ!そう言えば…誰かが踏み鳴らした感じが出てきましたね」
「近いぞ」
「おい!オビト…あれ見てみろよ」
「うん?おお…出てきたな何かゲートみたいだ…」
「入ったら出られないとか…?」
「それ漫画の読みすぎだろ?シノー怖いのか?」
「怖くないっすよ!凪に会えなくなるのはちょっと困るな…と」
「会えるだろ…俺だって龍に会わねえとだしな、馬鹿な事言ってねえで入んぞ」
硬い扉だな…誰が建てた?
ギ、ギギーッ
「よし開いたぞ何かゲームで見た事あるよなこの感じ…」
あーあれはバイオハザード4か…最初に辿り着く村だよな…そんな感じだ…
「うわー…何か人っ子1人居ないっていうか気配が無いよな」
「そのうち出てくるんじゃないの…ゾンビみたいなのが…」
「おい!やめろよオビト…俺そういうの苦手だわー敵は人間相手にしてくんないかなー」
「ハハッ、ミツヒデー本当こういうの駄目だよな…笑える」
「平気な方がおかしいわ!」
「龍は喜びそうだな」
確かに気味悪い村だよな、民家もあるし街灯もチラホラあるけど、コンビニやら店が無いな
田んぼはあるが田植えやら何もしてない感じだな…ここまで人いないと聞き込みできねえ…
「オビトさん!アソコ!カーテンちょっと動きましたよ!」
「ん?…確かにたまに誰かの視線感じるな、あの家行ってみるか…」
「すいませーん!誰かいらっしゃいませんか?」
返事無し…でも居るな…人の気配はする…
「こんにち…」
「何でしょう…何か御用ですか?」
びっくりした…後ろに立ってたのか…気配消してた…?
「すいません…少しこの村についてお話伺いたいと思いまして…」
「村について…ですか?何故です?」
「私は色んな村の伝記などを調べて本にしているんですが、ここの村の事を少し知人に聞きまして…お話伺っても?」
「知人…ですか…私はここに住んではおりますが村の伝説みたいな話は聞いた事ございませんが…父がもう歳なので最近家に戻ったので…」
「そうですか…他に村の事に詳しい方いらっしゃいませんか?そのような方が居られましたら是非紹介していただけませんかね…」
「…分かりました…話は通しておきます。暫くお待ちいただけますか?この先に村の人間が集まる施設がありますので…そこでお待ち下さい」
「有難うございます、泊まれる所とかあると助かるんですが…いきなり来て申し訳無いです」
「その施設にお風呂も食堂も泊まれる部屋もございますので、食事は後で持って行かせます」
「何から何まで申し訳ありません、ではお願いします」
「ここじゃ無いか?施設…何か外観ボロッ」
「いかにもって感じだよな…」
「でもお風呂もあるんなら助かったー山道歩いてもうクタクタですよー」
「シノはだらしねえな、これくらいでくたばってたら生きて帰れねえぞ」
「またそんな事言ってー…性格悪いっすよ!」
「早く風呂入ってこい!」
「オビトさん一緒に行きません?お風呂…」
「まだ行かねえ…」
「ミツヒデさん…は」
「………」
「行かないっすよね…行ってきます…」
こんなボロい施設の風呂とか気味悪い以外無いだろ…凪が一緒だったらなー……
「オビトどう思う?さっきの男」
「どうって…この村の雰囲気が原因なんだろうけど気味の悪い奴だったな…喋ってても表情が全く変わらない、人形と話してるみたいだったな」
「ああ、感情が読み取れなかった…」
「良い湯でしたよー」
「あれ、お前もう入ってきたの?」
「長湯なんて出来ませんて!シャワーだけで済ませましたよ!一緒に来てくれないし…」
「ブハッ、こいつマジで怖がりさんかよ」
「そんな事言うなら行ってみて下さいよーめっちゃ不気味なんで…」
「じゃあ行くか!」
「じゃあ俺も入ろうかなー」
「ズルくないっすか?!また俺ここに1人じゃ無いっすか!」
「じゃあお前ももう1回入れよ、怖がりちゃん」
「この怖がりようは凪に報告だな」
「ミツヒデさん!それは辞めて」
「良い湯だったじゃねえか…清潔だったし、後は話聞いて飯食って1晩寝るだけだ」
それにしてもいつまで待たせんだ…
飯にも毒が入ってる様子はなかったし…まぁ俺らは毒とか効かねえけど…あれから5時間は経ってるよな…
「お待たせいたしました。この村の事をよく知っている者を連れて参りました。」
おっ!やっと来たか
「いえいえ、いきなり来てお風呂とご飯まで用意して頂いて…」
「あなた方がこの村について聞きたいと?」
「ええ、この村の歴史とか…」
「フフッ……」
何笑ってやがる…気持ち悪いじーさんだな…
「この村にはね昔…鬼が出ましてね…」
「鬼…?ですか」
「ええ、鬼ですよ…人を食らう鬼、元々は人間だったそうなんですが…ある事をきっかけに鬼と化してしまったっていう伝説がありましてね…」
「と言うと?」
「子供が変死体で見つかったんですよ…このすぐ近くの池で、喉を噛みちぎった痕がありまして、手足や内蔵も食い散らかされているような惨たらしい死体だったそうです。」
「それが鬼の仕業だと?」
「いいえ……その子の親は日頃から行動が怪しいと疑っている人間が居ましてね、その人間を問い詰め拷問したんです。これは鬼の仕業でコイツが鬼だから子供を食ったんだと言ってね」
「…それで?」
「鬼だったら黒い血が流れるはずだと言って…その人間の腕を切り落としてしまったんですよ…でもその男からは赤い血が流れていた。それでも子供の親はそんなはずは無いとその人間の手足を全部切り落としてしまった。」
「それは…実話…ですか?」
「ええ、勿論です…その後鬼に取り憑かれていたのは子供の親だったということが分かりその親は首をはねられ子供が発見された池に放り投げられた…鬼と間違われて無惨に殺された人間は手足を切断されたにも関わらず生きていました。しかし拷問の苦しみと手足を生きたまま切断されたショックから立ち直る事が出来ずある日舌をかんで自殺したんです。自殺した人間は土に埋められたのですがどうも土を掘り返した者が居たそうで死体がなくなっていたんです。その次の日から1人又1人と村人が消えて行く現象が始まりました。村人が最後の1人になった時分かったんです。村人は消えたのではなく、最初に拷問を受け自殺した人間がこの世に蘇り人をさらい食っていたのだと子供を殺し食らった親に取り憑いていた鬼は自殺した人間に再び取り憑いていたんですね。より憎しみを持った人間に…
拷問した人間もそれを黙って見ていた人間も許せなかったんでしょうね…最後の1人となった村人はある事を約束させられ食われずに済んだ…食われたくなければ餌を運べと…」
「それって…まさか…」
「そうです…私がその末裔ですよ…」
「それは伝説では無く今も続いてるのでは…?」
「ええ…そうですよ、私の父もその父もこの村に人を連れて来て土地を与え家を与え子を作らせた…そのうちの2人の娘が逃げ出してしまったんですよね…その2人を探すのに苦労しましたよ、何せ私たち一族の命がかかっておりますのでね…」
「お前らが…」
「そうですよ…この村に住んでいた元々の人間はもう私の一族だけで、後は殺人を趣味や生きがいにしている者達を利用して娘2人を探させました。対価は何人でも人を殺しても良いというご褒美ですね…住まいもここにありますし、殺人者にとってこの村は良い隠れ蓑です。あの方も私達の働きに満足しているようです。でもあなた方にこの村の事を喋った愚か者は後で始末しないといけませんがね」
「狂ってる…こんな奴らの為に…真尋や美麗の両親は殺されなきゃいけなかったのか…」
「あの方ってのは今どこに居るんだ?ここまで話したんだ会わせるよな?人を食う鬼って奴」
「会えばあなた方死にますが宜しいのですか?」
死ぬわけねーだろこのクソ共が…
「連れてきな!どっちが死ぬか見ものだなー」
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